Intelは4月24日に、第3世代Coreプロセッサー・ファミリーとなる新CPU群を発表した(関連記事)。これらのCPUは開発コードネーム“Ivy Bridge”と呼ばれていたものであり、現行CPUである“Sandy Bridge”シリーズの後継モデルとなる。
Sandy Bridgeの登場が2011年1月なので、およそ1年3ヵ月ぶりの大幅なモデルチェンジである。新CPUのラインナップは4コア8スレッドの「Core i7」、4コア4スレッドまたは2コア4スレッドの「Core i5」で、主にメインストリームのモデルが刷新されている。新CPUの見分け方は、モデルナンバーの“Core ix”に続く4桁の型番が“3”からスタートするので、簡単に区別が可能だ。
Ivy Bridgeで何が変わったのか?
まずはIvy Bridgeでの変更点について解説していこう。もっとも注目すべき変更点は、製造プロセスルールがSandy Bridgeの32nmから22nmへと微細化されたことだ。
Intelは「Tick Tock」モデルで新CPUを投入しており、“Tick”で半導体製造プロセス技術を更新、“Tock”でCPUマイクロアーキテクチャを更新する。“Tick”と“Tock”を一定期間ごとに交互に行なうことで、安定した性能アップを提供しているわけだ。今回のIvy BridgeはTick Tockの“Tick”に当たるモデルとなる。22nmへの変更では、トランジスターを立体構造化して搭載する「トライゲート」が採用され、トランジスターのスピード向上や消費電力の低減に貢献している。いつも以上にプロセスルール微細化の効果に期待できそうだ。
Tickモデルということもあり、CPUアーキテクチャに関しての変更はほとんどないが、それでも見逃せない強化点は盛り込まれている。それは内蔵GPU機能のパワーアップだ。
Ivy Bridgeのダイ写真をSandy Bridgeのものと比較すると、Ivy Bridgeは内蔵GPU部分の占める割合がかなり大きく、Intelの発表によると内蔵GPU性能はSandy Bridgeの2倍になると言う。内蔵GPUの強化はライトゲーマー層、動画変換などのメディアプロセッシング、汎用コンピューティングなど、多くの用途でメリットをもたらすので、かなりうれしい強化点と言えるだろう。
注意する点は、CPUモデルによりGPUの性能が異なること。内蔵GPUはIntel HD Graphics 2500または4000の2タイプあり、後者のほうが高性能である。だが、Intel HD Graphics 4000は、4コア8スレッドモデルまたは倍率ロックフリーの型番末尾“K”モデルのみとなる。
Intel 7シリーズチップセットとの組み合わせで
Ivy Bridgeは真の力を発揮する
チップセットは、先行リリースされたIntel 7シリーズ(Z77/Z75/H77/B75/Q75/Q77)のほか、Intel 6シリーズの一部(Z68/P67/H67/H61)がサポートする。ただし、Intel 6シリーズはマザーボードのファームウェアが対応している必要があるので、マザーボード流用時には注意したい。
Intel 7シリーズとIvy Bridgeの組み合わせでは、3つのディスプレー同時出力をサポートする。マルチディスプレー派のユーザーにはかなり魅力的な機能なので、3画面同時出力に対応するマザーボードはぜひチェックしておきたい。

この連載の記事
-
第424回
Radeon
AMDはWQHD向けGPU「Radeon RX 7700 XT/ RX 7800 XT」で優勢を取れるか?【後編】 -
第423回
Radeon
AMDはWQHD向けGPU「Radeon RX 7700 XT/ RX 7800 XT」で優勢を取れるか?【前編】 -
第422回
自作PC
VRAM次第でゲーム性能は変わる?GeForce RTX 4060 Ti 8GB版vs16GB版で対決 -
第421回
自作PC
1TBモデルで1万円切りのWD Blue SN580 NVMe SSDが高コスパかどうかを実際に試した -
第420回
自作PC
至高の消費電力測定デバイス「Powenetics v2」を手に入れた -
第419回
自作PC
DLSS FGが使えて5万円って実際どうなの?GeForce RTX 4060レビュー【後編】 -
第418回
自作PC
Radeon RX 7600とのコスパ対決はいかに?GeForce RTX 4060レビュー【前編】 -
第417回
レビュー
最大転送速度10000MB/秒超え!2段ヒートシンクが目を引くPCIe 5.0対応SSD「Nextorage NE5N」シリーズの実力とは -
第416回
自作PC
GeForce RTX 4060 Ti搭載でカード長約170mm!冷却性能と動作音も小型PC自作向け -
第415回
ASRock
ASRockがRadeon RX 7600搭載ビデオカードを3シリーズで発売!先行してPhantom Gamingモデルの性能をチェック -
第414回
Radeon
予想価格は4万円台半ば?値上がり時代に価格で攻める「Radeon RX 7600」レビュー - この連載の一覧へ