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週刊 PC&周辺機器レビュー 第130回

スレートPCをCore i7で蘇らせたオンキヨー TW3A-A31

2012年04月06日 12時00分更新

文● 小西利明/ASCII.jp編集部

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 次に総合ベンチマークテスト「PCMark 7」で総合性能を検証してみた。比較対象として、同じCPUを搭載するUltrabook「HP ENVY14 SPECTRE」と、一般的なスレートPC並みの性能(Atom Z670搭載)を備える富士通の変形スレートPC「FMV LIFEBOOK TH40/D」のスコアと比べてみた。

PCMark 7の計測結果

 結果は上のグラフのとおり、ENVY14と比べるとCPU性能のわりには意外にも大きな差がある。細目を比べると、ストレージ性能やビデオトランスコーディングなどで差が大きいようだ。SSDの性能差がやはり大きくカウントされているようだが、全般的に同CPUのUltrabookにはやや劣ると言える。

 一方、Atom搭載のTH40/Dとの比較は、2倍から5倍程度、項目によっては9倍近い差がある。当然といえば当然だが圧倒的な差だ。スレートPCとしての比較対象はAtom Z670やAMD Zシリーズを搭載する製品となるので、TW3A-A31C77Hはそれらと比べて、非常に快適な動作が期待できる。

 ベンチマークテスト時にやや気になったのは、高負荷時のファンノイズと放熱がやや大きいことだ。ディスプレーサイズや、ディスプレーを内蔵したデザインを考えると、放熱機構に余裕を持たせるのは難しいのだろう。CPUが高負荷になると、ファンの風切り音が耳につく。本体上部にある排気口付近の温度を放射温度計で計測すると、40度前後になっていた。とはいえ、発熱が集中しているのはこのあたり程度で、底面の温度は高くても37度程度に収まっている。

 バッテリー駆動時間については、公称値でも約6.1時間と長くはない。バッテリー性能計測ツール「BBench」※1を用いて、無線LANを使用しながらのウェブブラウジングを想定した駆動時間を測定してみた。
※1 巡回するウェブサイトは現状に合わせて、標準設定から変更している。

BBenchによるバッテリー駆動時間テスト
バランス設定 省電力設定
約4時間55分 約5時間13分

 電源管理機能はWindows 7の標準機能を使っており、バランス/省電力でも設定の違いは少なかった。そのためバッテリー駆動時間も大差がなく、どちらも5時間前後という結果になった。ただし、出荷時設定ではバッテリー駆動時のディスプレー輝度が低め(40%程度)なので、この設定では画面がかなり暗い。画面を多少明るくして使うとなると、実使用時のバッテリー駆動時間は上の数値よりも減ると見た方がいいだろう。なお、バッテリーは内蔵されていて、ユーザーによる交換は不可となっている。

 TW3Aのサイズと重さでは、例えば電車の中で立ったまま使うというのは適当ではない。一方、室内でちょっと持って使ったり、顧客と画面を見ながら対話するようなビジネスユースは、動作の快適さと画面サイズの大きさもあって、比較的適した使い方に思える。プロセッサー性能の高さに対して、メモリーやストレージ容量が制約されている構成を鑑みても、個人がアプリケーションやデータをたくさん入れて使うというよりは、やはり法人ユーザーが特定業務向けに使うのに適した製品と言えそうだ。

真価の発揮は
Windows 8 CPをインストールして?

 Core i7による快適なWindows動作と、やや重く携帯性には欠けるといった特徴を備えるTW3Aシリーズだが、このマシンの真価を発揮させるのは、タブレットに最適化されたWindows 8の導入後だろう。とはいえ、Windows 8の製品版が出るのはまだ先の話だ。

オンキヨーはTW3Aシリーズの製品発表会で、Windows 8 CP版をインストールしたデモを披露していた。Windows 8向けタブレット用アプリの開発機材に最適かも?

 オンキヨーが公式にサポートしてくれるわけではないが、同社ではTW3Aシリーズを、Windows 8のβ版であるWindows 8 Consumer Preview(以下CP版)のテスト用にも適すると述べている(関連記事)。Windows 8 CP版をタブレット端末に導入して使うにも、CPUがAtomでは性能面で問題がありすぎて、タッチ操作アプリケーションの検証に使うには不都合が多い。その点Sandy Bridge世代のCPUを搭載するTW3Aシリーズならば、性能面でも十分だというわけだ。

 もちろん正式発売前のOSであるため、オンキヨー自身が「動作します」と保証してくれるわけではないし、サポートも期待できないが、実際Windows 8 CP版はTW3Aシリーズで動作している。現時点ではバックライト制御用の照度センサーなどで問題があるとのことだが、それ以外のコンポーネントはごくオーソドックスなものを使っているので、Windows 8でのスレートPCテスト機としては、十分使い物になるだろう。

 開発者向けという特殊なニーズになってしまうかもしれないが、タブレット端末に最適化されたWindows 8用アプリケーションを早く手がけたいという開発者が、TW3Aシリーズをテスト機材として導入して開発を進めるというのは、大いにありえる用途と思われる。

TW3A-A31C77H の主な仕様
CPU Core i7-2677M(1.80GHz)
メモリー 2GB
グラフィックス CPU内蔵
ディスプレー 11.6型 1366×768ドット
ストレージ SSD 32GB
無線通信機能 IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 3.0
インターフェース USB 2.0×1、SD/SDHC/MMCカードスロット、HDMI出力など
サイズ 幅299×奥行き209×高さ18mm
質量 約1.09kg
バッテリー駆動時間 約6.1時間
OS Windows 7 Home Premium SP1 32bit版
価格(直販価格) オープンプライス(11万9800円)
発売時期 4月上旬予定

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