完成したiLifeスイートがiPadの価値をさらに高める
ここまで新しいiPadのハードウェアの特徴や新機能について触れてきたが、アップル社の製品はスペックや機能で勝負しているわけではない。
やはり、なんといっても大事なのは、それによってどんな風に生活が豊かになるかだ。
それでいうと、今回、iPadの発表と同時に、iOS版の「iPhoto」が登場し、これまでMacに「iLife」のブランドで提供していたライフスタイルアプリケーションがすべて勢揃いしたことの意義は大きい。
iOSにカメラコネクションキットをつないで、デジタル一眼レフカメラの写真を取り込み、iPhotoを起動すれば、MacBook Proの17型よりも、はるかに豊かなピクセルレベルで写真のレタッチができる。
一眼レフで撮影した運動会のママさん写真のベストショットが、学校が雇うプロカメラマンの写真よりもドラマチックで、感情溢れる一枚に仕上がる。
撮りためた写真から「ジャーナル」と呼ばれる写真日記をつくる機能や、ジャーナルで用意した写真を、CMのようなスライドショーアニメーションに変えてくれる機能もある。
このiPhotoが入ったiPadを持って友達と旅に出かけたら、一体どれだけ楽しい思い出を残せるか。そう考えただけでゾクゾクしてくる。
日中のアクティビティーをiPadのカメラでフルハイビジョン動画として撮影しておけば、夜、宿に帰ってきてから、ほんの数分で「iMovie」の楽しい「予告編」映像にして、皆で楽しむことができてしまう。
しかも、iPadにあわせて1080p対応にアップグレードしたApple TVを宿のテレビにつなげば、AirPlay機能を使ってワイヤレスで1080pの動画を大画面に飛ばして皆で楽しむこともできる。
旅先で楽器を持ってきた友達に混じって、楽器のできない方でも「GarageBand」でリズムを刻んだり、新しいストリングオーケストラの機能を使って合奏に参加することも可能だ。旅先でできた即興の音楽をGarageBandで録音し、iTunesに転送すれば、翌週、会社からの帰りの電車内でiPhoneやiPadでその音楽を聞き、楽しい思い出に元気をもらうこともできる。
撮影協力:平河町ライブラリー
iPadであれば、残せる画像や音が上質なぶん、思い出せる記憶や楽しさも鮮明になる。
そして、そんなところにこそ新しいiPadの本当の価値があるんじゃないかと思う。