ヘッドホンでもサラウンドで!
音質にも徹底してこだわったヘッドホン出力
CREAS Proを搭載する専用基板は、画質ばかりでなく、音質にもこだわっている。例えば、HDMI端子の音質改善のため、従来機からジッター低減などのさまざまな技術が盛り込まれているが、新機種ではこれを同軸デジタル音声出力にも反映した。従来ならば別の場所にある同軸デジタル音声出力が、2つのHDMI端子の間に配置されるという異様なレイアウトはこれが理由だ。
「ドルビーTrueHD」などの出力ができないとはいえ、CD再生などでの優位性もある同軸デジタル音声出力がさらにグレードアップしたというのは、本機をCDプレーヤーとしても使いたい人には気になる点だろう。
そして、電源部も全面的に見直され、ノイズ対策やパルス電源用の新開発した音質コンデンサーの採用など、特にオーディオ系の徹底したこだわりは枚挙に暇がない。
今回クローズアップしたいのはヘッドホン出力だ。これには設計を担当した佐々木圭佑さん(ソニーイーエムシーエス株式会社 木更津テック 設計センター)に話を聞いた。
佐々木:「BDZ-AX2700Tの音質面での特徴のひとつには、“どんなときでもサラウンド”というものがあります。ヘッドホンサラウンドだけでなく、薄型テレビのスピーカーから音を再生するダウンミックス2ch出力時でも、S-Force フロントサラウンド3Dにより高品位なバーチャルサラウンドが楽しめます」
BDZ-AX2700Tを購入しようという人には、バーチャルサラウンドというとオマケ機能のようなものと思われがちだ。ところが、本機のバーチャルサラウンドはテレビ内蔵のものとは別物と考えた方がいい。
テレビの場合、そもそもBDから入力される信号がダウンミックスされた2ch信号になってしまう。これをサラウンド化してもなかなか本格的な5.1chのような再現は難しい。
BDZ-AX2700Tの場合は、HDオーディオ信号をデコードした最大7.1chの信号を使ってバーチャルサラウンド化するので、リアチャンネルの再現性はもちろん、絶対的な音質も大きく違うのだ。
また、バーチャルサラウンドのオン/オフは画面のメニューで切り替えができ、使い勝手の点でも快適に使えるようになっている。
そして、これらとは独立した基板で設計されているのがヘッドホン出力回路と専用のサラウンド回路である。信号処理を行なう40bitDSPと、アナログ音声出力部と同じ32bitDAC(PCM5102)を採用するという本格的なものだ。
ジッターを極限まで低減する独自の技術「ジッター・エリミネーション回路」もきちんと搭載し、電源はDSP用、DAC用、ヘッドホンアンプ用に独立させている。ここまでやるのか!? と驚かされるほどのこだわりの回路だ。
佐々木:「画質・音質ともに、無理に情報量を欲張るのではなく、じっくりとソフトに集中できる自然さを追求していますが、それはヘッドホンでも同じです。まずは、しっかりとした音を出力できる回路を作ることが第一です」
ここまでのこだわりを聞けば、音質的に有利な標準プラグの採用はマストだろう。そして、一般的なヘッドホンに多いステレオミニプラグのために変換プラグも付属している。
これがまた実に素晴らしいのだが、このステレオミニプラグも新規に開発されたもので、端子が差し込まれる接続部まできちんと金メッキ仕上げとなっている。
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