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鳥居一豊の「最新AVプロダクツ一刀両断」 第41回

ソニーが放つ至高のBDレコ「BDZ-AX2700T」をチェック

2011年11月16日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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濱田:「このほか、映画画質の改善を目的に、オーバーシュート補正を行なっています。映画によっては、輪郭などに白いフチドリのようなものが見えることがありますが、これを抑えることで映像をすっきりと鮮明に再現します」

 この機能は、輪郭強調やエッジ強調といった、いわゆる精細さを調整する映像処理なのだが、信号の振幅を強めるのではなく、“弱める”方向で使う考え方で開発されている点が斬新だ。

 もともとは制作の過程で中域の信号を強めるなど、一部の映画において映像が不自然になっているのを改善することを目的として開発されたのだが、結果としてはかなり多くのコンテンツで自然な画質になることがわかったという。しかも、その機能をユーザーが自由に調整できるようにしてくれたのがうれしい。

新たに追加された「輪郭調整(中域)」と「精細感調整(中域)」。調整による効果も大きく、しかも映画だけでなく映像ソース全体に大きな効果がある機能だ。調整の幅は0を基準に±6段階で調整できる

新たに追加された「輪郭調整(中域)」と「精細感調整(中域)」。調整による効果は大きく、しかも映画だけでなく映像ソース全体に大きな効果がある機能だ。調整の幅は0を基準に±6段階で調整できる

 新たに追加された「輪郭調整(中域)」、「精細感調整(中域)」がそれにあたる。これらの機能は基本的にはある周波数帯(高い周波数になるほど細かい情報となる)の信号の特定の振幅を強める/弱める働きをするものだ。ただし、単純に振幅を強めたり、弱めたりするだけではないという。

 例えば、輪郭調整(中域)を弱める方向で使用すると、中域にあたる振幅を弱めると同時に、特定の高域信号の振幅を高めるといった動作をしている。これにより、単純に輪郭の再現を柔らかく、またはくっきりとさせるというよりも、輪郭を細く、あるいは強めて再現するといった印象の変化になる。

 これまでのシャープネスのような輪郭補正の調整は、弱めすぎるとボケボケの映像になると思いがちだが、実際に試してみても、ボケるどころか、すっきりとより鮮明に感じられることが多かった。

 詳しく聞いてみると、単純に中域といっても、該当する周波数帯の信号を取り出すフィルターはかなり特殊なもので、さまざまなフィルター特性を試して吟味したものだという。しかも、振幅の幅を調整するための処理も、元の信号の振幅に応じて最適な処理ができるように、複雑な特性を持っているという。この開発には、映像処理回路の長い経験をベースにしたノウハウが生かされているとのことだ。

 気をつけたいのは、輪郭調整(中域)を強める方向で使用すると、映像がくっきりすると同時に輪郭付近のノイズが目立ち、ザラついた印象になる傾向が多いこと。基本的には弱める方向で使う方が好結果となることが多い。

輪郭調整の最小(左)と最大(右)をテストチャートで比較。800~1000と書かれた部分の再現性に注目。より細かい部分(周波数が高い)部分に与える効果が大きいようだ

同じく輪郭調整(中域)の最小(左)と最大(右)をテストチャートで比較。こちらは全体的な精細さの違いも一目瞭然。よく見ると200~600あたりの部分の輪郭のキレが大きく変化する

ビル街を映した映像で精細感調整の最小(左)と最大(右)を比較。一見してビルの壁面のディテールが高まったと感じる

上と同じ映像で、精細感調整(中域)の最小(左)と最大(右)を比較。こちらの方がビルの壁面のデコボコ感が高まったように見える。効果がはっきりとわかる部分は近いものがあるが、再現のされ方は精細感調整とはまるで違う

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