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ミクZ4、3年目の本気! SUPER GT激闘記 第42回

日本最速の歌姫が誕生!

天使のミクさんが女王に!ミクZ4、GT300でついに頂点へ!

2011年10月20日 22時14分更新

文● 末岡大祐/ASCII.jp編集部 ●撮影/鉄谷康博、加藤智充、編集部

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ミクZ4を狙う刺客はレガシィだけじゃなかった

 しかしもう一台、恐るべきスピードで迫り来るマシンがいた。マシントラブル(ドライブシャフトの破損)でピットスタートを余儀なくされた、#33 ハンコックポルシェである。奇しくも去年後期のミクポルシェが、ごぼう抜きでミクZ4と458のトップグループに追いついてきていた。

 458はミクZ4にわずか1秒差にまで追い上げたが、17周目に早めのピットイン。得意のアンダーカット(ピットインを他チームからずらすことでクリアラップを走り、ラップタイムの落ち込みを最小限に止める)作戦だ。これを見たミクZ4もすかさず次の18周目にピットインし、458を前には行かせない作戦を敢行した。番場選手がしっかりと1位の座を堅守し、完璧に仕事をこなして戻ってきたのである。ピット作業で多少のトラブル(エンジン再スタートに手間取ったなど)はあったものの、458との順位は入れ替わることなくアウトラップへ。ここから458・平中選手とミクZ4・谷口選手の壮絶なバトルが始まる。

 タイヤの暖まっていないアウトラップ(ピットアウト直後の周回)は、基本的には抜かれてしまう危険性が高いのだが、そこはハコ車マイスターの谷口選手。タイヤが暖まっていようがいまいが、自在にクルマをコントロールし、あっという間にレースペースに乗ったのだ。

 ここからが“谷口劇場 in もてぎ”のスタートだ! 「あの、度重なる性能調整は一体何だったのか?」と言いたくなるほど下位にぐいぐいと差を広げ、とんでもないペースで周回を重ねる。実に2位以下に、1周で1秒ほどの差をつけて引き離していったのだ。逆に458はどうにも調子が上がらない様子。ハンコックポルシェのピットインしたタイミングで、抜けなかったことも大きく影響している。抜くべき相手・ミクZ4との間に1台入ってしまったのだから。

 そして、ミクさんは音速の天使になり、谷口選手は鬼神と化した。もてぎの折り重なる直線を弾丸のように走るミクZ4はファステストを連発し、ピットインしていないマシンすらも彼方へと置き去りにする。最大のライバルであった458とは、すでに15秒以上の差が開いていた。ハンコックポルシェも時に谷口選手以上のラップタイムを出すが、それすら問題にならない。もう谷口選手はゴールのさらに向こう側にあるシリーズチャンピオンへと疾走しており、後方で何が起きようが関係ないのである。

 途中、エヴァ紫電がピットアウトのタイミングで458の前に出るものの、アウトラップだったのですぐに458に抜き返される。そして、#5 マッハ先輩が36周目にコースアウト。僚友の#27 イカ娘フェラーリは路面とタイヤのマッチングが悪かったらしく、なかなか順位を上げられない。痛車仲間が苦しんでいる中、ミクZ4はすっかり独走状態に。しかも、40周目にはダメ押しとばかりの“1分56秒台”という驚異のタイムを記録。あとはチェッカーフラッグまで一直線であった。

 このまま谷口選手が危なげなくゴールまでミクZ4を運び、ついにチェッカーを受けた。30歳でデビューしたため、周囲からは遅咲きと言われ続けたレース人生10年。いつも、あとちょっとで届かなかったGT300クラスチャンピオンの栄光を、10年目にしてようやく手に入れたのである。しかも、ミク痛車で

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