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週刊 PC&周辺機器レビュー 第94回

よりリアルな3D表示を実現! ハイセンスな新VAIO F

2011年03月18日 12時20分更新

文● 池田圭一

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板を2枚重ねたような独特のとがったデザインを採用。天板は高級感のある光沢仕上げ

 細部まで凝ったデザインで、全身を黒で包んだ精悍な外観は、とても目を引くものだ。しかし、使いやすさという点ではもう少し配慮がほしかった。特に操作性に大きく影響するタッチパッドは、パームレストと完全に一体化していてセンサー部にディンプルを設けただけである。キー配置に合わせて本体の左よりにあることや、色がつや消しの黒色ということもあって、タッチパッドの位置がつかみにくく「どこを触ればカーソルが動くのか」がわかりにくいのだ。

パームレスト部が浮き上がる独特の形状をしている。キーボードのタッチはいいが、ディンプルのみのタッチパッドが視覚的にわかりにくく、操作性にもやや難がある

 また、このデザインでは天板を閉じたときに、液晶ディスプレーとキートップが触れてしまう。それを避けるために、ディスプレーのベゼル上部に設けられたゴムダンパーにも、後付け的な違和感が残った。

既存2D BDの擬似3D化も可能
リアルさが増す240Hzの3D表示

 新VAIO F最大の特徴である、3D表示について詳しく見ていこう。新VAIO Fが搭載する3Dステレオ表示機能は、アクティブシャッターのメガネとフレームシーケンシャル方式の3D表示機能「NVIDIA 3D Vision」をベースとしたものだ。しかし、そこは3Dに力を入れるソニーのこと、独自技術で3D表示の品質を大きく変えている。

 一般的な3D Vision対応ディスプレーでは、左右の視野を120Hz駆動(毎秒120コマ表示)で切り替えながら表示している(左右それぞれは60Hzずつ)。一方、新VAIO Fが採用した液晶パネルは世界最高水準の応答速度を持つもので、240Hz駆動が可能である。GPUに搭載したGeForce GT 540Mが生成する秒120コマの映像の間に、1コマずつ黒画面を挿入すると同時にLEDバックライトの輝度を制御。これにより、左目画像→黒画面→右目画像→黒画像→左目画像といった順で映像が表示されるため、残像によるクロストークを低減した。

 その効果は、特にBlu-rayなどのHD映像を3D表示したときに顕著だ。輪郭がくっきりとしているため、自然風景などでは空気感まで再現され、リアルさが著しく向上していた。

プレインストールされた3D機能のチュートリアル。各種3Dサンプルのほか、2D→3D変換操作が紹介されている

 ちなみに付属する3Dメガネもソニー独自の、同社の液晶テレビ「ブラビア」用と同じものとなっている。3D Visionでは、液晶シャッター駆動にUSB充電式のバッテリーを用いていたが、新VAIO Fではボタン電池駆動となっている。デザイン面でも洗練されたといえる。

3D Vision対応だが、クローム調の外装などブラビアと同じアクティブシャッター式3Dメガネ

3D Vision用メガネは充電式だが、新VAIO Fは国内で入手性のいいボタン電池(CR2032)駆動

 3D表示機能は、独自のランチャーソフト「VAIO Gate」内にある「3D world」に集約されている。ここにはBlu-ray 3D再生対応の「WinDVD BD」のほか、「NVIDIA 3D Vision Video Player」などがある。3D Vision Video Playerには、既存の2D映像を解析して擬似3D化する「3Dモノスコピック」機能があり、表示の奥行き感の調整も可能だ。

 WinDVD BDにも、2D DVDを擬似3D表示化する機能がある(奥行き感は自動で最適化)。これらの2D・3D表示切替は、キーボード右上にある3Dボタンを押すだけでよく、このあたりも民生機として考えられているといえる。

2D映像を表示中に押すと、ワンタッチで3D表示に切り替えられる「3Dボタン」。スリット上のメッシュはステレオスピーカー

「VAIO Gate」から「3D world」を選択。「3D Vision Video Player」と「WinDVD BD」が3D動画表示に対応する

NVIDIA 3D Vision Video Playerで再生。通常の2D映像を3D変換するのが2Dモノスコピックモード

2D→3D変換時は奥行き感を調整可能

 さらに、既存の2D BDを擬似3D化する機能も備えている。この3D化アルゴリズムでは色要素も判定しているようで、映像の奥行き感に関係なく青が奥、赤い物体が前に飛び出して見えるというクセがあるものの、立体感は意外にきちんと表現されている。

 さすがに最初から3D化されているBlu-ray 3Dのようにはいかない。だが、パソコンで既存BDコンテンツの擬似3D化が可能なことには、正直驚いた。

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