3Dにテレビ録画
AV重視のオールマイティ機
今回評価した店頭モデルであるVPCF219FJ/BIは、CPUにSandy Bridge世代のモバイル向けクアッドコアCPU、Core i7-2630QM(2GHz)を採用する。CTO方式で販売されるVAIO OWNER MADE(VOM)モデルであれば、上記のほかに1万5000円追加でCore i7-2720QM(2.20GHz)を、3万5000円追加でCore i7-2820QM(2.30GHz)も選択できる。
先述のとおり、3D表示を実現するGPUはNVIDIAのGeForce GT 540M、こちらもモバイル向けの低消費電力版GPUだが、Core i7内蔵のIntel HD Graphics 3000に比べて、約2~5倍のパフォーマンスを発揮するという代物だ(関連記事)。
AV性能も卓越しており、2チャンネル同時録画が可能な地デジチューナーを内蔵。オーディオ再生も独自のバーチャルサラウンド技術(S-FORCE Front Surround 3D)を備えており、内蔵ステレオスピーカーの音質も悪くない。リビングなどにハイセンスなAV機器として設置して、常用できるデザインと機能があるといえる。
性能面では、まずWindowsエクスペリエンスインデックスの最低値は「5.9」。「Sandy Bridge採用でこの値?」と疑問に思われるかもしれないが、プロセッサーは「7.4」でメモリーは「7.6」、グラフィックスも「6.6」と高い。つまりHDDの値が足を引っ張っている。総合ベンチマークプログラム「PCMark Vantage」によるペンチマークテストの結果も、下記のようにHDDスコアが全体に影響している。
PCMark Vantage 32bitのスコア | |||
---|---|---|---|
PCMark | Memories | TV and Movies | Gaming |
6090 | 4395 | 5286 | 6442 |
Music | Communications | Productivity | HDD |
5296 | 5873 | 5457 | 3515 |
HDD性能が低いのは、店頭モデルが搭載する640GB HDDが5400rpm(毎分5400回転)と、やや低速であるためだろう。このアンバランスさは試用中にも実感できるもので、処理自体はキビキビとしているものの、アプリケーションの起動やファイル操作になると待たされて、ストレスを感じることがあった。
VOMモデルでは5000円追加で同容量の7200rpm HDDか、5000円値下げで500GBの7200rpm HDDが選べる。また4万円の追加になるが、256GB SSDも選択可能である。内蔵ストレージは高速のものを選び、地デジ録画など大容量を必要とするストレージは、USB 3.0や有線LAN経由でのNASなど、外部ストレージの利用をお勧めしたい。
★
店頭モデルの予想実売価格は25万円前後。VOMモデルは17万9800円から用意されている。新VAIO Fは一見したところ、3D表示とデザイン重視のコンセプトモデルのように思えた。しかし最新のSandy Bridge採用に、3Dゲームも楽しめるGeForce GT 540Mの搭載。さらにダブル地デジチューナー内蔵など、基本スペックも充実した「使えるマシン」である。
既存2D BDコンテンツの擬似3D表示化が可能なことを考えても、ハイエンドなパーソナルAVプレイヤーとして大いに勧めたい。
東北地方太平洋沖地震に際しまして、亡くなられました方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被害を受けられました皆様には、謹んでお見舞い申し上げます。1日も早く平常の生活に戻れますよう切にお祈り申し上げます。
VPCF219FJ/BI の主な仕様 | |
---|---|
CPU | Core i7-2630QM(2GHz) |
メモリー | 4GB |
グラフィックス | GeForce GT 540M |
ディスプレー | 16型ワイド 1920×1080ドット |
ストレージ | HDD 640GB |
光学ドライブ | 記録型BDドライブ |
無線通信機能 | IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 3.0 |
サイズ | 幅398.5×奥行き271.5×高さ35~45mm |
質量 | 約3.2kg |
バッテリー駆動時間 | 約2.5時間 |
OS | Windows 7 Home Premium 64bit版 |
予想実売価格 | 25万円前後(3月19日発売予定) |
筆者紹介─池田圭一
月刊アスキー、Super ASCIIの編集を経てフリーの編集・ライターに。パソコン・ネットワーク・デジタルカメラなど雑誌・Web媒体への企画提供・執筆を行なう一方、天文や生物など科学分野の取材記事も手がける。理科好き大人向け雑誌「RikaTan」編集委員。デジイチ散歩で空と月と猫を撮る日常。近著は「失敗の科学」(技術評論社)、「光る生き物」(技術評論社)、「これだけは知っておきたい生きるための科学常識」(東京書籍)、「科学実験キット&グッズ大研究」(東京書籍)、「やっぱり安心水道水」(水道産業新聞社)など。
この連載の記事
-
第133回
PC
Skyrimも快適? GeForce内蔵Ultrabook ASUSTeK UX32VD -
第132回
PC
写真やゲームをより美しく見せるナナオの液晶 FS2333 -
第131回
PC
デジカメとスマホを手軽に連携する無線LAN SDカード FlashAir -
第130回
PC
無線とタッチで使い勝手が進化したペンタブレット Intuos5 -
第130回
PC
スレートPCをCore i7で蘇らせたオンキヨー TW3A-A31 -
第129回
PC
店頭モデルも4コアCPUに パワーアップしたLets'note B10 -
第129回
PC
小型でも強力GPU搭載のゲームPC Alienware X51を検証 -
第129回
PC
Ultrabookと一緒に持ち歩きたい 超小型マウス「Cube」 -
第129回
PC
14型のUltrabookはアリか? デザイン重視のENVY 14 SPECTRE -
第128回
PC
WiMAXモバイルルーターの決定版!? Aterm WM3600Rを試す -
第127回
デジタル
高速SSDで起動・復帰が速いUltrabook Aspire S3-951 - この連載の一覧へ