じゃあ触らせてもらいましょうか!
―― 最後にせっかくだから、ちょっと音出しましょうか。変わった音色としては、どれが面白いですか?
金森 「EXTRAバンク」と呼んでいる音色バンクに、「コードヒット」という音色があるんですよ。これはエレピの音で、1ノートだけでコードが鳴るものなんですが。
―― おお、かっちょいい! これ、コードをサンプリングしたわけじゃないですよね?
金森 いえ、コードをサンプリングしたんです。
佐藤 あの、ちょっと聴いて欲しいものがあるんですけど(と言いつつ、金森さんが打ち込んだ、a-haの「テイク・オン・ミー」とYESの「ロンリーハート」を再生)
―― カッコいいなあ。これギターのスクラッチとか弦の擦れる音も入ってますけど、オリジナルのM1には入ってなかったですよね?
佐藤 そこら辺が「EXTRA」で追加した音色なんですよ。
佐野 当時のシンセって、こんな音どこで使うんだって音、入ってたじゃないですか。あのムードですよ、再現したかったのは。あ、そうそうカオスモードでコードが弾けるのを試していってくださいよ。
―― スケールを選んで、その上にできるコードを勝手に鳴らしてくれるんですよね。その前にシタールの音を聴いてみていいですか?
金森 その音はね、「ラーガ」スケールで弾くといいんですよ。
―― おお、これはどう弾いてもインドじゃないか!
佐野 ヤバい、プリンス・オブ・ペルシャだ!※
※ プリンス・オブ・ペルシャ : Brøderbund社のアラビアンナイト風ゲーム。
……と、以後1時間ほど試奏は続いて、このインタビューはおひらきとなった。
なお「KORG M01」は最終的に全342音色、うちドラムキットは34キット分の音色が載ることになった。ドラムキットにはコルグのDDD-1、DDM-110、S3も収録。佐野さんが「別のソフトで売りたかった」と言うくらい、単体のドラムマシンとしても十分に魅力的で、お買い得感は高い。打ち込みの操作感については、タッチペンが使えるという点で、DAWをしのぐところがあると感じた。
KORG M01はAmazon専売で、発売予定日は12月31日。が、それより早いデリバリーを目指して、開発チームは追い込みの真っ最中。佐野さんによれば「大晦日に届いても、年末年始に遊べないじゃないですか。だからそれより少し前に」届く可能性もあるというので、ぜひ予約して待とう!
著者紹介――四本淑三
1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。