7月末に液晶テレビ「AQUOS クアトロン 3D」(AQUOS LV3シリーズ)を発売し、国内市場でも3Dテレビを大々的に展開し始めたシャープ。
3Dテレビと同時期に発表された「AQUOSブルーレイ」は、ブルーレイ3Dディスクに対応。2TB HDD内蔵の「BD-HDW700」と1TBの「BD-HDW70」の2モデルを展開し、家庭でも3D映像の送り出しから表示まで、AQUOSブランド・トータルで楽しめる環境が整った。
2010年は“3D液晶テレビ元年”と呼ばれ、各社から3Dテレビと3D対応のBDレコーダーが次々と発売されていることはご存知の通り。
液晶テレビのAQUOS LV3は、発表こそ5月31日と国内大手3番手であったが、ふたを開けてみれば、7月中の発売に間に合い、他社の主要モデルと並ぶ時期になった。さらに、AQUOSブルーレイは3D対応だけでなく、3層100GB/4層128GBの記録が可能な、BDメディアの新規格「BDXL」にいち早く対応。他社に先駆けて、進化するBDの規格を取り入れてきた点にも注目が集まる。
製品発売までの経緯と戦略を、シャープのBDレコーダー開発のキーパーソン、AVシステム事業本部デジタルメディア事業部 副事業部長 兼 商品企画部長の松浦文俊氏への取材を実施した。
BDXL対応のレコーダーを最速で目指す
── 3D液晶テレビにBDレコーダーを加えた、AQUOSの3D関連製品が7月に揃いました。発売のタイミングはどのような経緯で決められたのでしょうか。
松浦 「3Dワールドというのは、テレビとレコーダーのセットで作り出されるものです。レコーダーについても、新製品投入のタイミングは、当初から7月を念頭に置いていました。
背景としては、3D対応チップ開発のタイミング、商品の入れ替え時期に加えて、当初からBDXLへの対応を構想に入れていたことがあります。BDXLの規格化が6月末。それを踏まえると、7月末が最短です。AQUOSブルーレイの商品化は、そのタイミングで動かしたかったし、実際に動けたというのが結論ですね」
── 昨年来に『アバター』が大ヒットして以来、劇場映画の話題はまさに3D一色となり、セルBDの市場も3D化に向かって動き始めたところだと思います。これは液晶テレビも含めて聞きたいことですが、開発者は3D化に向けて、3D映画をどのようなアプローチで研究し、製品に反映してきたのでしょうか。
松浦 「我々が取り組んでいるのは、プレイヤーを含めたBD全体の事業なので、当然、パッケージソフトを(高画質に再生することを)視野に入れています。
ご承知のように、現在ではトップ10に入る劇場作品の多くが、3D映画になっています。同じ作品でも、2Dと3Dでは3D上映の方が人気。メガネをかけた観客は、奥行き感のある新しい映像の表現に感動している。それを家庭でどう実現していくか。3D映画が持つパフォーマンスをどう引き出していくかが重要です。
つまり、家の中でも3D映画を劇場にいるのと同じ高画質で楽しんでほしい、というのがテーマでした。技術者としてもクアトロンの四原色パネルに負けない画作りをすることを一番の課題に取り組みました」