今後は日本でも
在宅オペレーターが当たり前に?
上記したように、在宅オペレーター向けのソリューションは用意されている。では、導入の障壁はどこにあるのか? 日本アバイア システムエンジニアリング部 シニア システムエンジニア 橋本健氏は「最大の理由は情報セキュリティに不安があること」と言う。
橋本氏が示した資料によれば、米国では推定15万1000人が在宅でオペレーターをしており、さらに2011年までに33万人にまで倍増するという予想もある。国内では在宅オペレーターはまだまだ少なく、日本アバイアの顧客に限って言えば、述べ2000シート未満と少ない。そこで橋本氏は、成功事例を2つ提示し、在宅オペレーターへの理解を求めた。
こうした例を見れば、在宅オペレーター導入への不安で最も大きいセキュリティについては、技術的側面は解決され、運用の側面に移っているのが現状だとわかる。信頼できるスタッフをいかに確保するかが、在宅オペレーター導入の決め手になりつつあるのだ。
続いて橋本氏は、日本アバイアが在宅オペレーションに対応できるソリューションを、すでに用意している点を説明した。
この発表会ではまた、日本アバイアが招聘した、いわきテレワーキングセンター 東京オフィス 統括ディレクター 三浦拓馬氏も登壇し、「在宅コンタクトセンター導入事例から」というセッションも行なわれた。
同社は1994年、福島県いわき市においてテレワーカーの育成や在宅をはじめ柔軟な働き方の選択が可能な職場づくりをコンセプトにスタートした。主な業務はコールセンター業務や、その関連業務、人材開発や地域ポータル運営などだ。現在は、社員数27名、準社員・パートが146名、自営型のテレワーカーが310名という構成になっている。
三浦氏は国内のテレワーク従事者が1000万人を超え、就業人口の15.2%に到達しており、政府は2010年には20%を目標にしていると語り、「原口ビジョン」において、2015年にはコミュニティ型テレワークセンターを全国150箇所に展開するほか、2012年には霞ヶ関の全職員が週1回テレワークを実施するという項目も紹介した。
在宅型コンタクトセンターのメリットとデメリットを挙げた三浦氏もやはり、課題となるのはシステムではなく運営にあると説く。セキュリティ問題は、スキルの高い就業者を選抜することでクリアできそうだが、クレーム処理を担当した場合は、孤独な職場でコミュニケーションがクレームをかけてくる顧客だけ……というケースに陥る可能性もある。そうなると、日本アバイアが提示したデモムービーのような横連携は、情報や知識の共有という側面以外にも就業者のケアでも重要になってくる可能性が高い。
三浦氏は、在宅オペレーターは、今後一気に進むと見ている。半年後にはニュースが飛び交う可能性もあるという。