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「Avaya Asia Pacific Partner Conference 2009」レポート【後編】

次はビデオ会議も!新生アバイアのロードマップを読み解く

2010年02月08日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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1月26~29日に開催されたアバイアの「Asia Pacific Partner Conference 2009(以下、APPC)」レポート【後編】では、販売体制や製品のロードマップなどについて見ていきたい。

チャネルセントリック!
間接販売への移行を推進

 前回の記事では、なぜノーテルと統合したか? どのように統合したのか?などを中心にレポートしてきた。コールセンターの覇者ともいえる同社が、今後成長が見込まれるUC(Unified Communication)の分野でシスコやマイクロソフトをはじめとした競合と戦うには、ノーテルとの統合が重要になるという背景を理解していただけただろうか? 

参加したパートナーたちの質問を受けるアバイアのエグゼクティブ

 さて営業面でいうと、ノーテルと統合した理由は実はもう1つある。間接販売体制への移行だ。

 アバイアは直接販売の比率が高い。2008年の段階での間接販売比率を見ると、マイクロソフトが95%、シスコが86%なのに対し、アバイアは55%にとどまる。日本では「外資系企業=間接販売」というイメージが強く、実際コールセンター製品を直販することはほとんどないので意外だが、米国などでは直接販売比率が非常に高いわけだ。しかし、扱う製品が増え、保守やメンテナンス等のサービス面が重視されるようになると、直販モデルではどうしても限界が生じてくる。そのため、同社はパートナー制度を拡充し、「2012年には間接販売の比率を現在の65%から85%にまで高める」(CEO兼社長 ケビン・ケネディ氏)という。今回はパートナーカンファレンスということで、多くのエグゼクティブが、この間接販売体制拡充の施策について詳細に言及していた。

2008年の段階でのアバイアの間接販売比率は55%にとどまる。事業拡大のためには間接販売体制の拡充が重要に

そのため、パートナープログラムを拡充し、今後数年かけて直接販売比率を下げていく

 ここで有効なのが、既存のノーテルのチャネルである。ノーテルはアバイアと逆で間接販売の比率が高く、前述の2008年のデータだと、92%が間接販売だ。ノーテルの持っているパートナーや販売体制、ノウハウなどは今までのアバイアにはあまりなかったもので、今後の戦略において重要とになる。今回は元ノーテルのパートナーも数多く参加しており、イベント内では幅広く意見交換も行なわれたようだ。

今のアバイアにはなにが欠けているか?

 次にグローバルコミュニケーションズ シニアバイスプレジデントのアラン・バラッツ氏の講演を基に、コンタクトセンターやUC製品のロードマップ、そしてノーテル製品との統合について見ていこう。

プレス向けのインタビューに答えるグローバルコミュニケーションズ シニアバイスプレジデント アラン・バラッツ氏

 統合後のエンタープライズ向け製品のロードマップは、日本での記者発表会でも披露されているとおり。これまではコンタクトセンターとUCのコンポーネントがあり、これらを仮想化環境上で実現するAvaya Auraがあり、ユーザー向けの端末やソフトがありといった具合で構成されていた。

統合後のロードマップ。赤が既存のアバイアで、水色がノーテル。紫がまさに今後開拓していく部分だ

2010年にはビデオコントロールやユーザー側の端末も拡充されるほか、ノーテルのPBXであるCS1000もAvaya Aura上に実装される

 バラッツ氏の見立てでは、「レガシーのPBXやCTIはすでに成熟市場であり、今後は成長率の速い分野に製品を投入していく必要がある」とのことで、同社の弱点や今後進出すべき分野ははっきりしている。

 まずコンタクトセンター分野だが、レポーティングや分析、レコーディング、ワークフロー管理などが未開拓な分野として挙げられた。とはいえ、これらのコンポーネントは既存の技術でカバー可能で、さまざまなサービスを統合するAvaya Auraに移行すればよい。バラッツ氏はAvaya Aura Session Managerのコスト削減の試算ツールのデモや、ユーザー事例をビデオで紹介した。

 一方で、今後成長が必要なUCの分野は、製品の欠けが目立つ。大型スクリーンを使うテレプレゼンスやビデオ会議用のシステムや端末もないし、Webアプリケーションとの連携も弱い。

 これに対して、バラッツ氏は2010年にAvaya Aura上にHDのビデオ会議サービスを持ち込むことを明らかにした。また、タッチパネル型の大型会議端末も披露し、エンドポイント製品もビデオ対応を図る。

SIPをベースとするアバイアのビデオ関連製品のロードマップ

会場のソリューションショーケースに展示してあったタッチパネル型の端末

 一方でデスクトップ用のUCクライアントも強化し、コンシューマ系のIM(Instant Messenger)と連携できるようにする計画も明らかにした。コンシューマ系のコミュニケーションツールと連携することで、異なるドメインでの企業間でのやりとりが容易になる一方、企業で欠かせないセキュリティやユーザー管理もしっかり行なえるという。

コンシューマ系のIMサービスとの連携も行われる予定

Webベースのサービスとの連携デモも行なわれた

(次ページ、アバイアが注目するノーテル製品)


 

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