M/G30で採用された興味深い試みは、もうひとつある。USB接続によってほかのパソコンから、M/G30のHDDの一部にアクセスできるようにした「USBクライアント機能」である。これは、専用ユーティリティでHDDの空き容量部分に約4GBの領域を確保して仮想ドライブ化し、本体左側面の「USBクライアントポート」(ミニBコネクター)とUSB接続したほかのパソコンから、リムーバブルストレージ(USBメモリー、またはDVDドライブ)としてアクセスできるようにした機能である。
別に用意したノートパソコンから、通常のUSBメモリー(高速タイプ)とM/G30のUSBクライアント領域にアクセスした場合の速度を測定してみた。結果は下のとおりで、書き込みではM/G30のUSBクライアント領域のほうが速かったが、読み込みではUSBメモリーのほうが1.5倍ほど高速だった。HDDへの読み書きとフラッシュメモリーへの読み書きを比較しているのだから、当然といえば当然の結果である。
容量が限られることもあって、この機能に「外付けのUSBメモリーを抜き差ししてデータ交換する」以上のメリットがあるのかどうか、今ひとつ理解できない。
★
ネットブックが利用されるシーンをうまく想定し、分析した結果がM/G30には反映されている。メーカー保証の範囲外となるが、メモリーモジュールやHDDの交換がユーザーレベルで行ないやすくなったのも、改善点といえるだろう。
M/G30の店頭実売価格は、WiMAX内蔵モデルが6万円弱、Office付属モデルで7万円弱といったところ。ユーザーニーズをうまくまとめた日本産のネットブックとして、なかなか魅力的な1台と言えよう。
FMV-BIBLO LOOX M M/G30 の主な仕様 | |
---|---|
CPU | Atom N450(1.66GHz) |
メモリー | 1GB |
グラフィックス | CPU内蔵 |
ディスプレー | 10.1型ワイド 1366×768ドット |
ストレージ | HDD 250GB |
無線通信機能 | IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 2.1 |
インターフェース | USB 2.0×3、USBクライアントポート、アナログRGB出力、10/100BASE-TX LANなど |
サイズ | 幅270×奥行き189×高さ35.2mm |
質量 | 約1.2kg |
バッテリー駆動時間 | 約5時間 |
OS | Windows 7 Starter |
価格 | オープンプライス(実売価格 7万円弱) |
筆者紹介─池田圭一
月刊アスキー、Super ASCIIの編集を経てフリーの編集・ライターに。パソコン・ネットワーク・デジタルカメラなど雑誌・Web媒体への企画提供・執筆を行なう一方、天文や生物など科学分野の取材記事も手がける。理科好き大人向け雑誌「RikaTan」編集委員。デジイチ散歩で空と月と猫を撮る日常。近著は「失敗の科学」(技術評論社)、「光る生き物」(技術評論社)、「これだけは知っておきたい生きるための科学常識」(東京書籍)、「科学実験キット&グッズ大研究」(東京書籍)、「やっぱり安心水道水」(水道産業新聞社)など。
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