2008年に登場したキングジムの「ポメラ DM10」は、非常にユニークなデジタルガジェットだった。テキスト入力にこだわり、徹底的に機能を削り込んで、単4電池での長時間駆動に注力したことで、多くのファンを集めることに成功した。
今回試用する「ポメラ DM20」(以下DM20)は、同社が「プレミアムモデル」と位置づける、ポメラシリーズの最新機種だ。本連載でもちょうど1年ほど前に、初代DM10のレビューを掲載している。「書くだけ」のデジタルデバイスは、1年でどこまで進化したのだろうか? 早速チェックしてみよう。
ディスプレーサイズ拡大で使い勝手向上
初代DM10は、「快適にタイプできるクオリティーのキーボード」と、「単4形電池2本で、バッテリー残量をほとんど気にする必要がないほど長時間動く」という点が人気を呼んだ製品だ。当然、その新モデルであるDM20も、考え方はまったく同じだ。
そのため、ぱっと見た感じ、DM10とDM20は非常によく似ている。特徴的な折りたたみ式キーボードに反射式のディスプレーも、取り外してカスタマイズが可能な天板も、ほぼそのままのイメージで搭載されている。実のところ、キーボードのパーツは塗装こそ違うものの、DM10とまったく同じものが採用されている。カラーはマット調の黒だが、皮脂などのテカりは意外と気にならない。DM10の白に比べると、汚れは目立ちにくくなった、といえそうだ。
だがDM10と比較すると、違いが一目で分かる点がある。それはディスプレーサイズが4型から5型に変わったことである。
たった1インチ分だが、そのインパクトはなかなかだ。筆者はまだ老眼を気にする年代ではないが、仕事柄か眼精疲労がひどく、疲れてくると小さな文字が読みづらくなる。DM10だと多少厳しいかな、と思うシーンもあったのだが、DM20ではそういった感じがほとんどない。
また、DM10では液晶パネル周りに大きく空いていたスペースがなくなり、折りたたみ式キーボードも全体がディスプレー部に隠れる構造になった。デザイン的により洗練された印象を受ける。
ディスプレーサイズが拡大されたことを受けてか(解像度は640×480ドットのまま)、DM10ではフォントのサイズに「24×24ドット」「32×32ドット」「48×48ドット」の3種類が用意されていたところ、DM20では「12×12ドット」「20×20ドット」「40×40ドット」「64×64ドット」の4種類が追加され、全部で7種類になった。大きくなったとはいえ、5型のディスプレーで12×12ドット表示の文字を常用するのは厳しいとは思うが、「文章全体の流れを見る」にはいい設定かもしれない。
バッテリー駆動時間重視のため、液晶ディスプレーには今回も反射型モノクロ液晶パネルを採用する。若干照り返しが少なくなっているような気もするが、ほぼDM10のものと同様の質感だ。かなり小さな灯りでも見えるが、やはり暗い部屋でのプレゼン中などには使いづらい。欲をいえば、小さなLEDライトをクリップなどで上に挟んでつけられるスペースが欲しかったところだ。
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