できないことをアピールするCM
「メールにインターネット、ゲームに音楽、ビデオ編集。これすべてできません」というTV CMが最近になって流れ始めた、キングジムのメモ入力専用機「ポメラ」。通信機能・拡張機能を一切持たないという持たない潔いほどの超シンプルなデジタルデバイスだが、広げればフルキーボードばりに入力しやすい折り畳み式キーボード、単4形乾電池2本で動作する低消費電力、なにより携帯時にはポケットに収まる軽快さもあいまって、出先で文字入力する向きにはなかなか好評だ(関連記事)。
5月12日に、発売当初からの黒(プレミアムブラック)/白(プレミアムホワイト)/オレンジ(トワイライトオレンジ)の3色に加えて、赤(パッションレッド)/青(ターコイズブルー)/シルバー(レーシングシルバー)の3タイプが新たに限定カラーとして追加。さらにソフトケースなど、アクセサリー群の充実が図られた。
同日都内で行なわれた発表会でのポメラの現状説明によると、2008年秋の発売以来、当初は品薄状態が続いたため、初年度はやや販売数が伸びなかったものの、今年4月には半年にして当初の年間販売予定数である3万台を超え、今回新たに初年度販売目標を10万台に修正するという。軽快な文章入力デバイスを必要としていたビジネスユーザーだけでなく、ちょっとしたメモ書き用途に欲しいというブロガーや、単機能で迷わないため年配のユーザーまで、広い層に受け入れられつつあるようだ。
宮本 彰社長の言では、キングジムの製品作りの方針は「打率1割でいいからホームランを狙える商品」、つまり二番煎じの安定した商品よりもそのジャンルの先駆者となるべき商品作りを考えろというもので、確かにこのポメラは現状において他に類を見ない商品として登場し、その地位を確立しつつある。
また、「熱心な賛成が10人に1人いればGO」というコンセプトにしても、ポメラが発表されたときに世間の反応は賛否両論あったものの、この商品が使えると判断して購入したユーザーがすでに3万人を超えていることからもどうやら正解だったようだ。
今後の展開について質問すると、「ネット対応機などは検討中だが、あくまでポメラという文章入力に特化したという製品コンセプトは維持するため、バリエーションによるラインナップ拡充となるだろう」(開発本部電子文具開発部の立石幸士氏)とのこと。
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確かにネット対応など各種機能(ユーザーの要望も多いそうだ)を付けることは簡単だ。しかし、軽快さやバッテリーの持ちなどとのトレードオフになることを考えれば、そのシンプルさが最大の武器であるポメラにとって、UMPCやNetbookの方面へ進出することは正解と言い難いはず。
もっとも、ポメラにおける最大の難点はNetbookの市場価格に対する割高感であり、ポメラのコンセプト自体には賛同するものの購入までには至らなかった層の獲得も重要なはずだ。今後検討するモデルが高機能化一辺倒ではなく、小型化や低価格化というラインナップも考えられているであろうことは、ユーザーにとって大きな期待が持てる。
