このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

クラウド、パンデミック対策、人体通信、そして海底ケーブル

海底ケーブルからクラウドまで!NTT Com Forumをのぞく

2009年11月02日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

Ethernet回線のセカンドウェーブ来る

 本業といえるネットワークに関しては、「プレミアムイーサ」や「バーストイーサ」など、新世代のキャリアEthernet系のサービスがアピールされていた。プレミアムイーサは昨年の12月に開始されたEthernetのハイエンド専用線。トランスポートMPLSとEthernet OAMにより、データ転送とコントロールプレーンを分離することで、エンドツーエンドで99.999%の稼働率を実現したという。2008年12月から開始され、2009年12月から全国展開を実現するという。

 また、バーストイーサは文字通りIP系のバーストトラフィックに安価に対応できる新型のサービス。インターフェイスの10%の帯域を保証しつつ、トラフィックの状態に合わせて、回線のインターフェイス速度上限まで利用できるというもの。つまり、ユーザーの確保できる帯域のほかは、他のユーザーと帯域を共用するという仕組みだ。実際にはユーザー側のルータやスイッチで1~7の優先制御ビットを付けることで、NTTコミュニケーションズの網側でトラフィックの制御を行なう。今まで1Mbpsの回線を2Mbpsに増速するより、「バースト10」(1Mbpsの帯域確保、最大10Mbpsのバースト時の利用)にしたほうが安価に済むという。帯域を確保するe-VLANとArcstar IP-VPNの、ビジネスOCNなどのアクセス回線として利用できる。新たにIP-VPN用のルータレスプランも用意され、会場でもアピールされていた。

高速専用線「ギガストリーム」のサービスであるEthernetのハイエンド専用線「プレミアムイーサ」。切れない・遅延なしという特徴が映像や放送関連などに受けているという

バーストイーサは「ベストエフォートとギャランティの中間になるようなメニュー」(説明員)とのことでコスト削減に活用できる

 EthernetのWANは決して真新しい存在ではないが、SaaSやクラウドコンピューティング時代を見越したセカンドウェーブがいよいよ登場してきた状況といえる。もともと持ち合わせている速度やコストパフォーマンス、LANとの親和性の高さ、扱いやすさなどに加え、信頼性や帯域制御などの機能を盛り込み、ますますユーザーに使いやすい存在となっている。

会場内で見つけたこんな展示

 その他、会場内で見つけたいくつかの展示を写真で紹介していこう。

グローバル展開を行なっている同社ならではの各国の通信事情やサービスを紹介するコーナー。BRICsのほか、タイ、ベトナム、マレーシアなどの状況も説明され、好評だった

2009年2月から開始された「Drive Protector Advance」。HDDをまるごと乱数化し、ペアとなるUSBキーを挿さないデータが読み取れない。非常に強固なクライアントセキュリティ

人体通信として話題を集めた「RedTacton」を用いた案内サインモデル。JR東日本研究開発センターフロンティアサービス研究所との共同研究

改札機の床にRedTactonの電極に設置し、Suicaなどに埋め込まれたRedTacton電極と通信。ユーザーに最適化された案内を表示する

海底ケーブルの実物も展示された。光化により、中継間隔は100kmまで増大。伝送容量も波長多重技術により、約300万通話相当をカバーするとか。その他、大正時代に敷設された4心ケーブルや海底ケーブル敷設船の模型まで展示された

 国内最大の通信事業者が、クラウドコンピューティングの波にどのように立ち向かっていくのかがかいま見えたイベントであった。今後、ネットワーク、インフラ、アプリケーションなどがどのように収斂し、「1つの絵」として描かれるのかが、今後の大きなテーマとなるだろう。

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード