10月28・29日、NTTコミュニケーションズは帝国ホテル東京において「NTT Communications Forum 2010」を開催した。クラウド時代に向けて数多くのサービスが参考出展されたが、注目はその足回りとなる「新VPNサービス」の存在だ。
Twitterが使っているデータセンターは?
NTT Communications Forumは年に一度同社が開催しているプライベートイベント。今年は「ICT for the Next Stage ~お客様と共に創る 新成長モデル~」をテーマに、2日間に渡って4つの基調・特別講演、20あまりのセミナーが開催される。クラウドコンピューティングを前面に押し出したほか、今年はアジア地域での現地法人社長が一堂に会し、現地の最新事情やICT活用を紹介するセミナーが数多く用意されている。
さて、28日の基調講演においてNTTコミュニケーションズ 代表取締役社長 有馬彰氏は、おもにインフラ、ネットワーク、サービスといった分野での最新の取り組みを紹介した。既存のシステムとNTTコミュニケーションズのクラウドサービスをシームレスに統合する「ハイブリッドクラウド」やクラウドとの常時接続を前提とした「新VPNサービス」などのほか、キー入力の癖を元に認証を行なう「キータッチパス」などの新技術も披露した。
29カ国・73都市におよぶグローバル展開についても説明し、対米回線の増速、データセンターの拡充など国際キャリアとしての成長をアピール。日本・香港・シンガポールでのトライアングルのネットワークを構築しつつ、対米回線を増速し、太平洋・アジア諸国において低遅延な通信環境を構築する計画を明らかにした。その他、成長著しいTwitterがNTTコミュニケーションズの米国データセンターを使っていることもアピールされた。
展示コーナーで聞いた離陸直前の新VPNサービス
一番気になるのは、「新VPNサービス」と銘打たれた新しいVPNサービスである。有馬氏の話によると、クラウドをすぐに使えるクラウドシームレス、ワンストップの運用を実現するシームレスオペレーション、海外との接続を前提としたグローバルシームレス、L2・L3のネットワークを1つにまとめるレイヤシームレスという4つのシームレスを持っているという。しかし、同社はこれまでe-VLAN(広域Etherent)、ArcstarIP-VPN、Group-Ether、Group-VPN(エントリVPN)など各種VPNサービスを持っており、これではクラウド利用をカバーできないのかという疑問が沸く。
これに対して、展示会の説明員はあくまで現時点でのスペックとして、サービス概要を説明してくれた。まず、新VPNサービスは信頼性、広帯域、低遅延、そしてセキュリティというクラウド利用に必要なスペックをきちんと満たした文字通り新しいサービスで、要件にあわせプレミアム、ギャランティ、バースト、ベストエフォートという4種類用意されるという。この4種類のサービスは、従来のe-VLAN(広域Etherent)、ArcstarIP-VPN、Group-Ether、Group-VPN(エントリVPN)に対応しており、将来的に新VPNサービスへの移行を前提としている。つまり、Group-VPNの要件であれば、新VPNサービスのベストエフォート、e-VLANの要件であればプレミアムというわけだ。
要件ごとに用意されてきた同社のVPNだが、異なるネットワークで提供されてきたため、今まで複数のVPNをまたぐためにはアプリケーションゲートウェイを経由する必要があり、決して安くない課金が発生していた。新VPNサービスでは、網をMPLSで統合することで「異なるVPN、1つのサービス」を実現。アプリケーションゲートウェイを介さずに他のVPNと連携できる真の統合VPNを可能にするわけだ。
また、新しいVPNターミナルが用意され、3Gと有線のバックアップが標準で搭載されることもわかっている。サービス開始の第一弾は2011年4月を予定している。
第5データセンターやスマートフォンなど
その他、展示会場では新サービスの紹介やいくつかのユニークな展示があったので、写真で見ていこう。
NTT Communications Forum 2010は29日にも開催される。
