10月29日と30日、NTTコミュニケーションズはプライベートイベント「NTT Communicasions Forum 2009」を都内で開催した。「日本品質がビジネスをつなぎ続ける」をテーマに、さまざまな講演や展示が行なわれた。ここでは展示会場の様子をレポートしよう。
クラウドにどう立ち向かうか?
キーワードは「Setten」と「BizCITY」
展示会場では、NTTコミュニケーションズが現在一押ししているクラウドやSaaS、リモートオフィス、パンデミック対策、グローバルなどの分野に分かれており、数多くのユーザーが担当者に質問を投げかけていた。
現在のNTTコミュニケーションズでもっとも注目したいのは、「安心便利に業務をできるICT環境を提供する」という同社のSaaSのブランドである「BizCITY」と、それを支えるクラウド基盤である「Setten」である。BizCITYがNTTコミュニケーションズやさまざまなISVが提供するアプリケーションのバザールだとすれば、Settenは、このBizCITYのサービスを、いつでも、どんな場所でも、あらゆるデバイスでも利用できるようにするためのインフラを提供するものだ。
具体的には、Settenでは仮想化サーバ・ストレージはもちろん、ユーザー認証やセキュリティ、WebOS、サービスを呼び出すためのAPI群などが用意される。これらSettenの基盤を元にBizCITYブランドで、ハードウェアやアプリケーションなどをそれぞれの階層で提供する(今風の言い方をすれば「XaaSとして提供する」)のが、単なる土管ではなく、幅広くICT環境の提供を目指す同社の進む方向性といえる。展示会場ではWebOS経由でのサーバベースコンピューティングや、Settenに接続したユーザー同士のファイルサーバをVPN経由で相互接続するソリューションが展示された。
NTT Communication Forum 2009では、いくつもの顔を持つ同社が提供するBizCITYブランドのXaaSサービスが披露された。IaaSとしての顔では仮想ホスティングサービスの「Bizホスティング」やファイルサーバサービスの「Bizストレージ」、PaaSの顔では、統合VPN経由でSalesforceを利用できる「Salesforce over VPN」やサービスプロバイダ向けの「BizCITY for SaaS Provider」などを提供する。もちろん、先日発表された「セキュアICT Bizメール」のようなSaaSも展示された。サービスということで、パネル展示がメインだったが、全方位展開を目指す同社の意気込みが伝わった。
また、こうしたクラウドやXaaSの物理インフラの1つとして披露されたのが、10月に発表された「東京第5デーセンター」である。新データセンターは専用のビルとして設計されたもので、約1700ラックに相当する1万平方メートルを実現するという。高性能免震や電力使用効率もトップレベルで、東京都の文京区ということで、アクセスもよい。2011年春に完成予定とのことだ。
パンデミック対策にも注目集まる
時節柄、在宅勤務やWeb会議などを中心とするパンデミック対策にも注目が集まっていた。『いつか』は、今年でした。というコピーが秀逸の「モバイルコネクト パンデミック対策ソリューション」では、インフルエンザ情報の一斉通知/安否確認、感染状況の確認、ケータイやPCでのリモートアクセスによる在宅勤務の実施などがパッケージとなったもの。厚生労働省のガイドラインを元にした行動指針に基づいた対策をアウトソーシングにより、実現できる。また、USBキー1本で使えるリモートデスクトップソリューションである「Biz Communicator」もパンデミック対策として展示されていた。
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