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山谷剛史の「中国IT小話」 第52回

新装オープンで沸く家電量販店と中国家電トレンド

2009年08月25日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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中国家電のトレンドは?

 今回は客が多かったため、各メーカーの販売担当者が接客で多忙なのをいいチャンスと、量販店内をある程度落ち着いてみることができた。そこで知ることのできた、最近の家電トレンドを紹介しよう。この店を例にはだすが、他の量販店もおおむね似たようなものだ。

目立つ場所にある中国テレビメーカーブース

目立つ場所にある中国テレビメーカーブース

 今一番旬な製品は液晶テレビ。プラズマテレビの人気はなく、そのプラズマテレビすら「液晶テレビ」と中国では呼ばれるケースも多々ある始末。中国全体でいえば、「創維」「康佳」「長虹」「海信」「ハイアール」といった中国メーカーのアピールが「在庫調整をしているのでは?」と思うほど積極的に安い価格で提供している。

店舗前のエスカレーターで、中国メーカーがテレビの激安キャンペーンをアピール

店舗前のエスカレーターで、中国メーカーがテレビの激安キャンペーンをアピール

シャープやパナソニックは奥でひっそりと通な客を待ち構える

シャープやパナソニックのブースは奥でひっそりと通な客を待ち構える

 たいていは店舗の奥の方にテレビコーナーがあり、そのテレビコーナーの中で各メーカーが独自ブースを作っている。内陸のこの店では中国メーカーが前に出て、さらに奥にシャープやソニーなどのメーカーブースがあった。ちなみに沿岸部の店では中国メーカーと外資メーカーが逆転する。

 32型クラスは小さい部類で、多くのメーカーは40型以上の製品を積極的に販売している。ブラウン管テレビも若干ながら売っているが、もはやおまけ程度に売られている。多くの液晶テレビは日本円にして3~15万円の値段帯だ。

 テレビコーナーのテレビブースの間の通路にはDVDプレーヤーが展示されている。「EVD」や「CBHD」(中国版HD DVD)はたまに1台置いてあるほかは、DVDプレーヤーがほとんど。多くの店でレコーダーすら売られていない。DVDプレーヤーは日本円で5000円程度。

 白物家電コーナーはテレビコーナーよりも入口近くに配置されていることが多い。コーナーの面積が大きいのは冷蔵庫、洗濯機、エアコンに、電気給湯器だ。中国では新築の家を購入しても、給湯器は配備されておらず、温水は屋上で太陽光で温められたものを使うのが基本だ。

 天気がぐずつく日々が続けばお湯すらでないわけだ。なので電気温水器はつけたら生活が向上するものとして、量販店では普通に売られている。電子レンジや調理器具や掃除機といったその他の白物家電は、前述の白物家電ほど大きく取り扱ってはいない。電子レンジはまだ普及しているが、掃除機はあまり普及していない。ほうきで家の中を掃除する習慣があるためだ。

最近の冷蔵庫は濃厚な赤系や花柄など柄があるのも多い

最近の冷蔵庫は濃厚な赤系や花柄など柄があるのも多い

200リットル以上のものが基本だ

200リットル以上のものが基本だ

 冷蔵庫は200リットル以上のクラスのものが主流で、値段も日本円にして2~10万円程度が多い。2ドアのものもあるが、3ドアで真ん中が温度調整できるタイプがメインストリームになってきている。

洗濯機。メーカー毎にズラリと並ぶ

洗濯機。メーカー毎にズラリと並ぶ

テレビや冷蔵庫や洗濯機など家電には省エネ度合いを示すシールが貼られている

テレビや冷蔵庫や洗濯機など家電には省エネ度合いを示すシールが貼られている

 洗濯機は昔ながらの縦型もあるが、ドラム式洗濯機が主流だ。値段もはっきり違い、縦型は日本円で2,3万円、ドラム式は4~10万円程度。メーカーは「サムスン」「LG」「ハイアール」が目立ち、「パナソニック」「シーメンス(ドイツ)」「Bosch(ドイツ)」「Whirlpool(アメリカ)」は地味ながら冷蔵庫と洗濯機、それぞれに製品を展開している。

 日系メーカーでは「三洋電機」が、空気で洗う機種など、売り場の中では高性能な洗濯機を展開。また三洋との合資提携がため「三洋と同じ品質だ」と中国人に認識されている中国メーカー「栄事達(Royalstar)」をはじめとした、中国メーカー数社の洗濯機もいくつかあった。

 同様に、冷蔵庫においても中国メーカーのものがある。いずれも日本では聞かないメーカーではあるが、中国では知名度はある。実際に触ってみると、冷蔵庫もドラム型洗濯機もドアを開け閉めするが、扉がかなり重かったり、きちんと閉まりにくいなど、基幹部品の組み立て以外の部分で中国メーカーの詰めの甘さ、というか技術不足が感じられた。

ケータイ売り場では「AQUOSケータイ」中国版も売っていた

ケータイ売り場では「AQUOSケータイ」中国版も売っていた

 デジカメやパソコン売り場は小さい。これはそれぞれ電脳街やデジカメ専門店のほうで買うのが一般的なためだ。一方、携帯電話は売り場はちいさいながら、著名メーカーから無名のメーカーのものまで様々なものが販売されていた。


山谷剛史(やまやたけし)

著者近影

著者近影

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。最新著作は「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)

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