PCの増大でコリジョンが無視できなくなる
1990年代後半、LANの普及やPCの低価格化とともに端末の数は急激に増えることになる。これに対して、多くの管理者は、カスケード接続*6という方法でリピータハブを増設し、ポート数を増やすという方法で対応していた。
*6:カスケード接続 複数のハブのポートを互いにケーブルで接続し、階層状に接続すること。ただしリピータハブを使った場合、接続台数は10BASE-Tで4段、100BASE-TXで2段という制限がある。しかし、ポート数が増えて接続される端末が増えると、当然ながら同一の媒体で複数の端末が同時に送信を行なう機会が増える。そして、自ずとコリジョンの多発という問題が出てくる。いったんコリジョンが起こると、送信元の端末は再送信を余儀なくされるため、ネットワークのパフォーマンスを落とすことになる。
これに対しては、ネットワークを分割することで、コリジョンの起こる範囲(コリジョンドメイン)を局所化することが重要になる。こうしたコリジョンドメインの分割を実現するために作られた機器が、スイッチの元祖である「ブリッジ」である。
コリジョンドメインを制限するブリッジ
電気信号を増幅・成型し、他のポートに伝播させるリピータハブは物理層で動作する集線装置といわれる。これに対して、ブリッジはデータリンク層の情報であるMACアドレスを学習し、コリジョンドメインを分割する。
具体的な動作は図7の通りだ。通常のリピータハブのネットワークを2つに分割し、両者をブリッジでまさに橋渡しするように構成する。ブリッジはポートに流れ込んでくる電気信号をデータリンク層のフレームとしていったん読み取り、ヘッダから送信元の端末のMACアドレスを取り出す。こうしてフレームを受信したポートとMACアドレスの関連づけを学習していく。MACアドレスは端末(のLANインターフェイス)固有のIDなので、いったん学習してしまえば、どのポートに、どの端末がつながっているかがわかる。
このアドレス学習機能により、ブリッジでは宛先となる端末のつながっていないポートには、フレームを流さないで済む。コリジョンの起こる確率は低くなり、ネットワークの伝送が効率化されるわけだ。
(次ページ、「スイッチングハブ=マルチポートブリッジ」に続く)
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