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図で解剖!スイッチ&ルータ 第1回

通信の流れがしっかりわかる!

ネットワーク機器の代表「スイッチ」の役割とは?

2009年07月23日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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Ethernet規格によるデータ伝送

 LANでのデータ伝送に用いられている標準規格は、現在に至るまで長らくEthernet(イーサネット)である。スイッチの動作は、このEthernetをベースにして実現されているため、Ethernetの説明は避けて通れない(図3)。

図3 Ethernetの歴史と標準化の流れ

 Ethernetは1973年、米ゼロックスの研究開発センターであるPARC(Palo Alto Research Center)で生まれたデータ伝送技術だ。当初は、ゼロックスの独自技術だったが、開発者のボブ・メトカーフ博士の意向もあり、オープンな技術として1980年にDEC、インテルとともに標準化した。これがDIX Ethernetである。

 その後、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)の802委員会で国際的なLAN技術としてお墨付きを得たことで、多くのベンダーがこれに対応したネットワーク機器を出せるようになった。このオープン性が、その後EthernetがLANの標準技術として普及した最大の理由だ。

 以降、EthernetはIEEE802.3と呼ばれる委員会で次々と技術が規格として標準化される。当初は10BASE5と10BASE2と呼ばれる同軸ケーブル*3を用いた規格からスタートし、10Mbpsという伝送速度を実現した。そして、同じ10Mbpsでありながら、引き回しの容易な銅線を用いた10BASE-Tが登場したことで、Ethernetは一気にブレイクする。そして、インターネットとWindows PCが普及した1990年代後半には、10BASE-Tと同じく銅線を用いた100Mbpsの100BASE-TXに移行。その後、1Gbpsの1000BASE-Tの登場で、いよいよギガビットに到達し、最近では10GbpsのEthernet規格の製品も利用されるようになった。このようにしてEthernetは30年間をかけてLAN技術の標準として君臨し、現在に至るわけだ。

*3:同軸ケーブル 銅線などの心線を絶縁体で包み、その外側に網状の銅線を巻き、さらにその外側に塩化ビニールなどの被覆を施した多重構造のケーブル。

CSMA/CDとEthernetフレーム

 Ethernetの規格は、大きく物理層とデータリンク層という2つの階層にまたがっている

 物理層では物理的な伝送媒体やコネクタ形状、接続形態を表わすトポロジ、他のプロトコルとのインターフェイスなどが定められている。

 Ethernetでは同軸ケーブルや銅線、光ファイバなど伝送媒体によってさまざまな規格がある。10BASE5や10BASE2では同軸ケーブルを用いていたが、その後登場した10BASE-T以降ではUTP*4ケーブルと呼ばれる銅線がもっとも標準的に用いられている。

*4:UTPケーブル UTPケーブルのUTPとはUnshielded Twist Pairの略で、2本の絶縁された銅線をペアでより合わせたもので、かつ外来ノイズや信号線同士の干渉を防ぐためのシールドが施されていないものを指す。

 物理層に対して、データリンク層は、CSMA/CDによるアクセス制御方式や送受信データのフォーマットを表わすフレーム形式を定めている。

 このうちEthernetを特徴付けるのが、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)と呼ばれるアクセス制御方式である(図4)。

図4 CSMA/CDでのアクセス制御

 Ethernetは、もともとは「アロハネット」と呼ばれる無線通信をベースにしている。アロハネットでは同一の周波数帯を複数の端末で利用する必要があるため、適切な通信の制御技術が必要になる。そこから有線のEthernetを特徴付けるアクセス制御技術であるCSMA/CDが生まれた。

 CSMA/CDにおいては、各端末がケーブルの利用状態を監視しており、ケーブルが利用されていない時を見計らってデータを送信する。これを「キャリアセンス(Carrier Sense)」と呼ぶ。道路に出る前にあらかじめ車が来るかを確認するのに似た礼儀正しい方法で、データを流すわけだ。こうしたキャリアセンスがあるがゆえに、複数の端末で伝送媒体を共用する多重的な接続(Multiple Access)が可能になるのだ。

 しかし、複数の端末が同時に送信を開始すると、信号同士がケーブル上で衝突する「コリジョン」と呼ばれる現象が起こってしまう。そこで、コリジョンを検出した送信元の端末はお互いランダムな時間待って、再送信を開始することにした。これが衝突検知(Collision Detection)である。こうしたCSMA/CDのアクセス制御方式により、1本のケーブルを複数の端末で共用することが可能になった。

 一方、Ethernetにおけるフレームは、ユーザーが伝送したいデータを分割し、それぞれにヘッダと呼ばれる制御情報を付けることで構成される(図5)。

図5 Ethernetのフレームフォーマット

 このフレームのヘッダにはMAC(Media Access Control)アドレスと呼ばれるインターフェイス固有のIDが宛先として挿入される。EthernetではこのMACアドレスを元に送受信を行なう。

 MACアドレスは全部で48ビットのフィールドで、前半24ビットは各ベンダーに割り当てたID、後半の24ビットが各ベンダーにより割り当てられたユニークなIDである。したがって、理論的には世界中で重複したMACアドレスは存在しないことになる。また、第1ビット目はI/G(Individual/Group)ビットと呼ばれ、通常は0だが、1になると特定のグループに同時送信するマルチキャストか、ブロードキャストアドレスになる。同一ネットワーク全体に送信するブロードキャストアドレスは48ビットすべてが1で、この場合は同一のEthernet LANに所属するすべての端末に同一のフレームが送信される。

(次ページ、「Ethernetのバス型トポロジ」に続く)


 

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