変わりつつある「中関村」を歩く
より大きな地図で 北京海淀区中関村 を表示
北京の電脳街「中関村」は、地図でいうと北京の北西部に位置する。地下鉄でいうと、先の三里屯と同じ地下鉄10号線で「海淀黄庄」駅という駅から徒歩でアクセス可能だが、両駅は10駅以上離れているので、地下鉄だけで30分以上かかると思った方がいい。
地下鉄10号線は北京五輪にあわせてできた新路線である。これにより中関村の利用者が増えたかといえば、以前の連載記事「権威失墜する中国のアキバ 」(関連記事)でも触れたように、若干の減少傾向にあって、少なくとも目視では以前より増えたとは言えないが、今も盛況ではある。
今までは中関村へのアクセスはバスのみで、北京中心部からのバスのバス停が中関村の東側の電脳ビル「中科大厦」のそばにあることから、中科大厦が電脳街としての中関村の玄関口となっていた。
しかし海淀黄庄駅が(正確には同駅の中関村への出口が)中関村の南西側にあるため、以前と比べて「中関村e世界」など南西側のエリアの電脳ビルが栄えている感じを受けた。
だから中関村をスマートに入門がてら歩くならば、海淀黄庄駅を背に、大通り「中関村大街」をまっすぐ進んで、中関村e世界などの電脳ビルを手始めに体力の続く限り歩き回るのがベストの選択だ。
欲を言えば、さらに駅を背に中関村大街を右手にまっすぐ進み、交差点(四環路)を渡ったところにある「中海電子市場」という異色の中古パソコン市場も見ておきたい。もし中関村のすべての電脳ビルをくまなく歩くとなると、実は個性的な店は少なく、飽きがきて、かつ足が半端なく疲れるが、上記のようにスマートに歩けば、疲労もそこそこに抑えることができるだろう。
ただ、あくまでそれは現状の話であって、将来は中関村電脳街の中心に新たに地下鉄新線の「中関村駅」が誕生する予定。そうなるとアクセスがより便利になると同時に、電脳ビルの勢力図が変わると思う。
ちなみにレノボや百度(BAIDU)をはじめとしたIT企業は、たいてい中関村周辺に本社を構えていることが多い。以前は電脳街の近くに構えた企業も多かったが、今は地価の値上がりを嫌ったのか、市の西北にある中関村の更に北に行った「上地」という地域に拠点を構える企業が多い。なので、中関村に行ったついでに、レノボの元祖本社を拝んでおこうと思っても少々厳しい話だ。
電脳ビルの内部を簡単に紹介すると、どの電脳ビルも1階がメーカー製パソコン、2階以上はデジカメやパーツショップであり、どの電脳ビルも正直大差ない。だが北京に限っては、ほとんどの電脳ビルで、ゲーム機を扱うゲーム機フロアや、アニメグッズフロアがある。北京人はなにげに日本のサブカル文化が大好きなのだ。他の都市の電脳街では見られないだけに、中関村の電脳街によったら、是非とも訪れたい。
ところで以前当連載で中国製RISC CPU「龍芯」を紹介(関連記事)し、そこで龍芯専門店が中関村にあることを少し書いた。
龍芯の専門店は中関村の外れの住宅街にひっそりと位置する。秋葉原で言えば、電気街のアキハバラから離れた「台東区秋葉原」に行かされたような気分になるかもしれない。
この店、元々龍芯関連企業が入るビルの1階を展示ホールとしてオープンしただけに、ビジネスアワー以外、すなわち土曜日日曜日はオープンしていない。北京に旅行となれば土日を絡んだ連休になりがちなので、この点、注意していただきたい。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。最新著作は「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)
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