万が一の停電時にもデータを保全し、安全に電源を落とすために、サーバにはUPS(Uninterrruptable Power Supply、無停電電源装置)を組み合わせるのが常識だ。ところがサーバの仮想化が進むにつれて、この常識が多少変化してきているという。
サーバが増えると、電源管理の手間も増える
「サーバ」が1つの筺体に納められていた時代は、1つのサーバに1つのUPSを接続し、停電を感知したらシャットダウンさせれば十分だった。しかし今では物理サーバの性能がどんどん上がり、複数の仮想サーバを稼働させられるようになった。
このような環境では、SAN(Storage Area Network)を用いてストレージをサーバの外に独立して設けるのが一般的である。こうしておけば、物理サーバ間をまたいだ仮想サーバの移動なども自由に行なえるからだ。当然、物理サーバだけでなく外部ストレージにもUPSを用意する必要がある。
だが話はそこで終わらない。サーバとストレージ、そしてネットワーク機器(LAN、SAN)からなるシステムを安全に停止させるためには、
- サーバ
- ストレージ
- ネットワーク機器
の順番で、電源を切らなければならない。また起動時は正反対の順番で電源を入れる必要がある。
サーバやストレージごとにUPSが割り当てられている環境では、上記のシャットダウン操作を自動化するのは困難だ。UPS同士の高度な連携が必要となり、高価なソフトを作り込むことになる。それができない現場では、手動でサーバ、ストレージ、ネットワーク機器の電源を切っているという。
スモールスタートで、徐々にサーバやストレージ、UPSを買い足してきたシステムでは構成も複雑怪奇になっており、多数の機器を適切な順序でコントロールするのは、困難を極める。
サーバの電源オフはたまのことだから、よいだろうと思うかもしれない。しかし現在はグリーンITの観点から、終業時にシステムの電源を切り、翌朝また電源を入れるという運用方法すら求められている。毎日ではなくても、週末は電源を落とすという企業も多いという。
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