オンキヨーは、国内のオーディオ機器メーカーの中では、唯一PCI接続型のサウンドカードを販売しているメーカーである。オーディオメーカーらしい“こだわった設計”が特徴で、過去にリリースされた「SE-150PCI」と「SE-90PCI」の2製品は、高音質なサウンドカードとして、音にうるさいユーザーの間で大きな話題となった。
写真1 SE-200PCIの基板上には、新しく採用されたOS-CONや、おなじみの銅バスプレート、大型電解コンデンサーなどがところ狭しと立ち並んでいる。2chのDACには「WM8740」を新たに採用。6chのDACは「WM8766」、ADCは「WM8776」となる。 |
D/Aコンバーターを変更し、S/N比も115dBに向上
オンキヨーのサウンドカードは、これまでステレオ出力に特化した「SE-80PCI」と「SE-90PCI」、マルチチャンネル出力にも対応する「SE-150PCI」の3種類が存在した。11月に発表された「SE-200PCI」(写真1)は、型番から推察できる通り、SE-150PCIの後継機種である。
写真2 手前が電源供給を安定させるための大型コンデンサー。中央の紫色のコンデンサーがOS-CON。 |
特徴としては、一般的なサウンドカードとは一線を画した“ぜいたくな作り”である点が挙げられる。SE-150PCIやSE-90PCIと同様に、電源供給を安定させるための“超大型電解コンデンサー”(写真2)、電源ラインとオーディオ信号のグランドを結線して基準電位を高める“銅板プレート”、アナログ出力に際してパルスノイズを除去し、なめらかなオーディオ信号を生成する独自のベクトル信号発生器“VLSC”(写真3)、などが回路上に盛り込まれている。
一見すると、SE-150PCIと大きくは変わっていない印象を持つかもしれない。しかし、実際には細かな改良が加えられている。そのひとつが銅板プレートで、従来製品では、RCA端子の直前でクランク状に折れ曲がっていたものが1枚のストレートなプレートとなり、その左右に完全対称形のVLSC回路が形成されるようになった。銅板プレートは、ステレオ出力のみでなく、アナログの7.1ch出力回路にも使用されている(写真4)。
デジタル回路の電源部と、入出力部分には、高域再生特性に優れたコンデンサー「OS-CON」を新たに採用している(写真2、5)。ステレオアナログ出力用のD/Aコンバーターも「WM8716」から、より高性能でS/N比も優れる「WM8740」に変更され、デジタル出力時のサンプリングレートも従来の最大96kHzから最大192kHzをサポートするようになった。
結果として、ボード上にD/Aコンバーターを内蔵したサウンドカードとしてはかなり高性能なS/N比“115dB”を実現している。ちなみに、SE-150PCIのS/N比は110dBだった。
写真3 銅板プレートをはさんで対称形に形成されたVLSC回路。 | 写真4 銅板プレートは、マルチチャンネル出力回路にも使用されている。 |
写真5 OS-CONは入出力部分にも使用されている。 | 写真6 サウンドチップはVIAのEnvy24HTだ。 |
なお、オーディオコントローラーは、従来同様、台湾VIA Technologies社の「Envy24HT」で、ドライバーソフトもリファレンスのままだ(写真6)。この点はSE-150PCIと同様で、対応するAPIはWDM(Windows Driver Model)に限られ、ASIO(Audio Stream Input Output)には非対応のままである。