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SE-200PCI

SE-200PCI

2006年12月15日 20時20分更新

文● 榎本 涼

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望まれるドライバーとマルチチャンネル出力の改良

 以上、SE-200PCIを詳細に見てきたが、いくつかの問題が見えてくる。一貫してソフトウェアはVIAのドライバーに依存しっぱなしだし、そのためにASIOにも非対応だ。この点は残念ながら、SE-200PCIでも指摘しなければいけない。3Dオーディオ技術のEAXもバージョンが2.0と古く、EAX対応の最新3Dゲームをバリバリ遊べるわけではない。よって本機のスタンスはあくまでも音楽や映画鑑賞が基本となる。とはいえ、時折EAX1.0/2.0程度のライトなゲームもするという程度なら十分だろう。

 何より気になるのは、アナログマルチチャンネルの品質がアナログステレオチャンネルと比べて、見劣りしてしまう点だ。世間でアナログマルチチャンネル出力のハイファイな音質があまり求められていないということは決してない。むしろSACD/DVDプレーヤーをあえてアナログ接続するユーザーもいると聞く。パソコンからのアナログマルチチャンネル出力をパソコン用のホームシアタースピーカーに接続する程度ならこれでも十分だろうが、せっかくRCA出力がこれだけのできなのだから、「マルチチャンネルも、もうひとがんばりしててしかった」というのが正直な感想だ。



パソコンで専用機器のような音を聞ける稀有な存在

 しかし本機にはそれを補って余りある魅力があるのも事実だ。このサウンドカードがもっとも得意とするのはいわゆる“ステレオオーディオPC”。次に“HTPC(ホームシアターPC)”であろう。世の中には、さまざまなコーデックを利用した圧縮音楽や、ダウンロードムービーがあふれており、これらを再生するためにオーディオPCやHTPCを大画面テレビやオーディオ機器に接続する必要性が生じることも多い。

 今後は“e-onkyo music”のような“HD品質”をうたった音楽配信サイトも現れてくる可能性が高い。その際、パソコンメーカーの理屈で作られたサウンドカードではなく、老舗オーディオ機器メーカーのノウハウを投入して作られたSE-200PCIを導入することで“パソコンくさくない”“オーディオ機器で聴いたことのある”音質が得られるのは魅力だ。

 もっと言えば、SE-200PCIは“聴いて少し幸せを感じる”“耳が疲れない”パソコン用のオーディオ機器なのだ。このようなオーディオ機器のアプローチで開発されたサウンドカードは筆者の知る限りオンキヨーの製品だけなので、その意味でも存在意義は大きいし、このように積極的に製品をブラッシュアップしていく姿勢も評価したい。

高品質音楽配信サイトe-onkyo musicとの連携

e-onkyo music
e-onkyo music

最後に、同社が最近開始した音楽配信サイト“e-onkyo music”についても、簡単に触れておこう。“iTunes Store”を始めとするほとんどの音楽配信サービスは、基本的に圧縮フォーマットによる配信が行なわれており、実際には残念ながらCD品質と同等ではない。

一方、e-onkyo musicはWMA Losslessフォーマットを使用することで、著作権を保護しながらCDとほぼ同等の16bit/44.1kHzまたは24bit/96kHzのいわゆる“HD(High Definition:高解像度)品質”の音楽配信を行なっている。品質的にどちらが有利かは一目瞭然であろう。そして、このような高品質な音楽を本来の品質で再生するには、当然高品質なオーディオ再生機器が必要になる。その際、SE-200PCIは有力な候補のひとつになるはずだ。

SE-200PCIの主なスペック
製品名 SE-200PCI
S/N比 115dB(2chアナログ出力時)
周波数特性 0.3Hz~88kHz(2chアナログ出力時、+0/-3dB)
サンプリング周波数(デジタル入力) 32/44.1/48/88.2/96kHz
サンプリング周波数(デジタル出力) 32/44.1/48/88.2/96kHz/176.4/192kHz
入力端子 ステレオRCA、光デジタルオーディオ入力
出力端子 ステレオRCA、光デジタルオーディオ出力、7.1chアナログ出力
対応OS Windows 2000(SP3以上)/XP(SP1以上)
対応API EAX2.0、A3D 1.0、QSound、STEREO EXPANDER

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