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SE-200PCI

SE-200PCI

2006年12月15日 20時20分更新

文● 榎本 涼

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デジタル出力は、リファレンスに対して若干の強調感を覚える

図3 計測結果(デジタル出力)
図3 デジタル出力の計測結果

 デジタル出力もストレートPCM(非圧縮)のピンクノイズを計測している。AC-3では直接計測ができないし、デコーダーを介すとその性能も影響するため、本機のピュアなデジタル出力品質がわからなくなるからだ。

 実際の計測結果だが、位相はもちろん優秀。周波数特性はマクロに見るぶんには破綻しておらず、大きくリファレンスから逸脱した個所はないものの、形状は見事な相似形とは言い難い。どちらかというと、リファレンスをかなり強調したような形状だ。個人的に気になったのは125Hz付近の緩やかな山と3kHz付近に“山というより角”ができている点だ。



高域が落ち、中域がやや張り出した形になる録音時の特性

図4 計測結果(録音時)
図4 アナログ入力の計測結果

 アナログ入力は、正直な話、計測結果だけをもって結論付けるのが難しい。テストに用いるアナログ出力機器の特性も加味されてしまうからだ。よってあまり細部を取り上げて議論しても意味は薄い。全体としてリファレンスが形成している大きなカーブに近ければ、お気に入りのアナログ出力機器(例えばレコードプレーヤーやカセットデッキ)の音が良好に録音できると考えて良い。カーブに近いかどうかを判断する際、低域と高域の高低差、カーブの形状に気をつけてほしい。

 SE-150PCIのアナログ入力は、以前他誌で試したところ位相ずれが発生していたが、現在はフィックスされているとのこと。本機の計測結果も問題なく、位相もきちんとしている。

 周波数特性に関しては、一応細部も取り上げておこう。気になる箇所は3点。350Hzくらいの小さな角が飛び出すぎる点、22kHz付近から高周波に向けて急に落ち込む点、1kHzから16kHzが今ひとつ相似形とは言えない点である。この中で恐らく重要なのは、22kHz付近の大きな落ち込みだ。カーブ形状は2kHzから8kHzくらいが若干膨らみ気味で、高域と低域の高低差が若干狭い。この結果から、低域は若干弱く中高域が若干強い、超高域があまりない録音になることが予想される。

テスト環境

テスト内容
一般的に計測に用いられる“ピンクノイズ”を、SE-200PCIで録音(入力)/再生(出力)し、その周波数および位相特性をイスラエルWaves社の解析ソフト「PAZ」で計測する。

出力テスト
再生機器:SE-200PCI
再生ソフト:米Sony Mediapictures「Sound Forge 8.0d」(WDMドライバーを使用)
ピンクノイズ録音機器:Power Mac G5および米digidesign「Pro Tools|HD Accel3+192 I/O」。レベルマッチングのため、SE-200PCIと192 I/Oの間で、独RME社の「Quad Mic」を使用している
ピンクノイズ録音ソフト:Pro Tools Software 7.1cs10
使用したピンクノイズ:Sound Forge 8.0dで作成。アナログ出力は24bit/192kHz。デジタル出力はPro Tools|HDの仕様の都合上、24bit/96kHzで作成

入力テスト
ピンクノイズ再生機器:Power Mac G5+米M-Audio「Firewire 1814」
ピンクノイズ再生ソフト:QuickTime 7
録音機器:SE-200PCI
録音ソフト:米Sony Mediapictures「Sound Forge 8.0d」(WDMドライバーを使用)
使用したピンクノイズ:Sound Forge 8.0dで作成。アナログ入力24bit/96kHz

再生環境
米Mackie Design Onyx 1220(アナログミキサー:SE-200PCIおよびProTools|HDの出力はここにアナログ接続)
デンマークDynaudio BM6A(ステレオスピーカーおよびサラウンドスピーカーのFL/C/FRとしても使用)
同BM10S(サブウーファー:ステレオ試聴時は未使用)
米GENELEC 1039(RL/RRスピーカー)

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