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【最新パーツ性能チェック Vol.38】Core Duoマザーまもなく登場! その性能はPen D/Athlon X2にどこまで迫るか? そして注目の消費電力は? 

2006年03月03日 08時08分更新

文● 月刊アスキー編集部 野口岳郎

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テストによってはPen Mの2倍オーバーも!

 グラフ7、8は、ともに同時に2スレッドが起動するテストだ。「PCMark 04」でのCPUスコアは、テストの一部で2アプリを同時に起動するものがあり、HTやデュアルコアのCPUのスコアが上がる。Core DuoはPentium M比で1.5倍近い伸びを見せ、Pentium 4-670やAthlon 64 FX-57といった最高速シングルコアCPUを上回った。デュアルコアCPUとしては、Pentium D 840弱、Athlon 64 X2-4200程度の中堅クラス。一方「Windows Media Encoder 9」においては、Pentium M比実に90%アップ。SSE性能の強化も寄与したものと思われる。スコア的にはPentium D、XEを上回り、Athlon 64-4800+をうかがう好成績だ。
 グラフ9、10、11は、4CPUもサポートするテスト群。Pentium XEの論理4CPUというスペックもフルに生きてくる。グラフ9の、CGレンダリングテスト「Cinebench」では惜しくも600に届かなかったものの、Pentium Dを振り切りPentium XE 840に高いスコアを記録。Pentium M比では実に2.1倍近い伸びになる。Pentium XEやAthlon 64-4800+といったハイエンドデュアルコアCPUの背中が見えた。グラフ10の「Windows Media Encoder 9 Advanced Profile」でも87%の高速化を果たし、Pentium D 820には大差をつけた。これもハイエンドデュアルコアに肉薄している。グラフ11の「DivX 6.1」での圧縮ではPentium D 840に勝てるかどうか怪しいが、数値的にはハイエンド陣にぴたりと付いている。

グラフ7 「PCMark 04」のCPUスコア。一部に2タスク同時実行を含む
グラフ8 「Windows Media Encoder 9」によるaviファイルの圧縮テスト。2スレッドだけ起動するため、Pentium XEではスコアが伸びにくい。短いほど高速
グラフ9 「Cinebench 2003」の結果
グラフ10 「Windows Media Encoder 9 Advanced Profile」でのaviファイル圧縮テスト。短いほど高速
グラフ11 「DivX 6.1」によるDV形式aviファイルの変換テスト。短いほど高速

今後の注目は64bit化とAMDの対応

 Core Duo T2600の性能は、シングルスレッドもマルチスレッドも、最高ではないものの中位以上をコンスタントにキープする、非常にバランスの取れたものだ。しかもCore Duoの消費電力は圧倒的に低い。グラフ12は「Superπ」実行時のシステム全体の消費電力だが、Athlon 64 FX-60以外の他のCPUの半分以下、ハイエンドのPentium 4と比べれば3分の1近い。サーバとして24時間駆動させる場合、100W消費電力を減らせば年間1万8000円ほどの節約になる。家庭ではサーバにしても「Superπ」のような負荷が24時間かかることは想定しずらいが、それでも年数千円くらいのインパクトはあるだろう。
 グラフ13は、「Superπ」において1秒間につき1Wで何ケタのπの値を計算できるかを示したものだ。いわば「ワット当たり性能」であり、数字が大きいほど効率がいいことになるわけだが、Core Duoの優秀さは突出している。FPUの強化によって「Superπ」性能が大きく伸びていることが反映されているため、多少は割り引いて考えたほうがいいが、それにしても現行のデスクトップ用CPUとは一線を画する。

グラフ12 「Superπ」実行中のシステムの消費電力。マザーが違うため厳密な比較にはならないグラフ13 消費電力1Wにつき1秒で計算できるπのケタ数。実質上ワット当たり性能

 ゲームや大量のエンコードが主目的なら、高くても熱くても、少しでも速いCPUが必要かもしれない。しかし多くの人には低消費電力で高性能、快適で電気代もかからず、小型化・静音化もしやすいCore Duoのほうが、性能が最高ではなくてもトータルの魅力はずっと大きいように思える。弱点としては64bit対応でない点が挙げられよう。年内に登場予定のWindows Vistaはほぼすべてのラインナップに64bit版と32bit版が用意される。Vistaへの対応・準備が、デバイスドライバやアプリケーションの64bit化のトリガーになるかもしれず、予想外に早く世界が64bit化してしまうと、32bitマシンでは少しさみしくなるかもしれない。ただ、64bitじゃないと使い物にならないというようなアプリが個人向けに出てきそうな気配はないし、Vistaの登場も半年から1年も先だ。また、Core Duoは次世代デュアルコアCPU“Merom”とピン互換とされており、グレードアップで対処もできそうなので、深刻な問題とまでは言えないだろう。

 Pentium M時代は、自作用マザーボードはメジャーどころではAOpenくらいしか販売していなかった。ところがCore Duoでは、今回テストに使用したMSIやおなじみのAOpenのほか、GigabyteやASUSTeKも製品をアナウンスしている。一気にデスクトップの世界にモバイルCPUのCore Duoが流れ込みそうな勢いだ。「ワット当たり性能」がキーワードになった場合、デスクトップCPUに勝ち目はなくなる。AMDは今年前半に、デュアルDDR2インターフェイスを持つモバイルCPU“Taylor”を投入するとしている。現在AMDのモバイルCPUはバルクでしか入手できず、正式対応のマザーボードもごく少ない状況だが、Core Duoの人気次第では対応せざるを得ないだろう。自作デスクトップにおいても、今年一番ホットなバトルは、Pentium vs. Athlonではなく、Core Duo vs. Turionになるかもしれない。

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