インテルは今年の第2四半期、すなわち6月末までにデュアルコアのCPU「Pentium Extreme Edition(以下Pentium XE)」と「Pentium D」を発売するとアナウンスしている。このうちハイエンド向けのPentium XEは、現地時間の11日、米Dellが「近日中に発売する」というリリースが出ており、登場は間近に迫っているようだ。さっそく本コーナーでも、この世界初のパソコン用デュアルコアCPUについて迫っていく。初回は気になる性能を明らかにしていこう。
エンコーダの性能は驚愕のひと言
一方でシングルスレッドの3D系ベンチは振るわず
Pentium XEは、1つのダイにPentium 4のPrescottコアを2つ内蔵する“デュアルコア”CPUだ。2つのコアがそれぞれ“HyperThreading(以下HT)”に対応するため、パッケージとしては1つのCPUだが、OSからは4つに見える。なお、メインストリーム向けのPentium Dは、コアを2つ搭載するが、HTをサポートしない。
今回評価するPentium XE 840は、周波数が3.2GHzと、現行のシングルコアのPentium 4よりは低い。これ以上のクロックでは、発熱や消費電力が大きくなりすぎるためだ。
「cpuz」でCPUのステータスを見たところ。1CPUなのに論理CPUが4つ見えているのがわかる |
以下ではFSB1066MHzに対応したシングルコアの最上位モデルであるPentium 4 Extreme Edition(以下EE)-3.73GHz、L2キャッシュを2MB搭載した“6xx”シリーズの最上位モデルPentium 4 660(3.6GHz)、現行最高クロックのCPUであるPentium 4 570J(3.8GHz)と、このPentium XE 840の性能を比較していく。
今回のテスト環境は以下の通りだ。シングルコアのPentium 4は、“i925XE”搭載のインテル製マザー「D925XE0CV2」に、DDR2-533モジュールを1GB搭載。デュアルコアのPentium XE 840は、インテル製の“i955X”搭載マザー「D955XBK」にDDR2-666モジュールを1GB搭載した。ビデオカードはATIのRADEON X700Pro、HDDはSeagate製“Barracuda ATA V”を、OSはWindows XP Professional SP2(32bit日本語版)を使用した。
グラフ1は、CPUのコア性能を見る「Sandra 2005 Lite」の結果だ。このテストはマルチスレッドに対応していることもあり、Pentium XE 840の圧勝となった。Pentium 4 EE-3.73GHzに比べ、整数、浮動小数点、マルチメディアとも70%増しというスコアとなった。周波数に換算すれば6.4GHz相当といえる。3.2GHzデュアルというスペックをそのまま反映したものとなった。
グラフ1 「Sandra 2005 Lite」の結果。他より1.7倍ほども速い。 |
グラフ2は、HT対応ソフトとして知られてきた「Windows Media Encoder」、グラフ3はマルチスレッド対応で知られる「TMPGEnc 3」、グラフ4はマルチタスクのテストを多く含む「PCMark 04」、グラフ5はこれもマルチスレッド対応のCGソフト「Cinebench 2003」の結果だ。「Windows Media Encoder」と「PCMark 04」は、クロックで大幅に上回る3者を頭ひとつ抑えており、「TMPGEnc 3」や「Cinebench 2003」では1.4~1.5倍もの差をつけての悠々のトップを飾った。マルチスレッド対応とはいっても、アプリによって大きく差が出ることがわかる。
一方、シングルスレッドと思われる「Final Fantasy」では、クロックが低いぶんスコアも低調になっている。ただ同じ3D処理でも、「3DMark 05」のCPUスコアはほかを大きく引き離している。これはこのテストにおいて、CPUがバーテックスシェーダーの処理とともに、障害物をよけるためのインテリジェントな判断を行なう処理を同時に動かしているため、マルチスレッド化することのメリットが出ているものと思われる。
なお、CPUに関する詳細については次回でお届けする。
グラフ2 「Windows Media Encoder 9」で177MBのAVIファイルを圧縮するのに要した時間。従来最速だったPentium 4-570J(3.8GHz)を僅差で上回った | グラフ3 「TMPGEnc 3」で177MBのAVIファイルを圧縮するのに要した時間。こちらは圧倒的な速さ |
グラフ4 マルチタスク処理を含む「PCMark 04」でも、高クロックのシングルCPU群を抑えた。すべてがマルチタスクというわけではないため、差はあまり大きくなかった | グラフ5 マルチタスクのレンダリング処理、「Cinebench 2003」の結果。4分割レンダリングのパワーは強力で、1.5倍ほどの速度を誇る |
グラフ6 「Final Fantasy XI ver.2ベンチ」の結果。こちらはクロックを反映したものとなった | グラフ7 「3DMark 05」の結果。描画性能はもともとCPUパワーにはあまり左右されないが、クロックが低いため惜しくも最下位。ただ、マルチタスク処理の“CPU”では好成績を残した |