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【最新パーツ性能チェック Vol.38】Core Duoマザーまもなく登場! その性能はPen D/Athlon X2にどこまで迫るか? そして注目の消費電力は? 

2006年03月03日 08時08分更新

文● 月刊アスキー編集部 野口岳郎

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Core DuoはPentium M×2に比べどこが優れているのか

 画面1は「CPUZ」で見たCore Duoの仕様だ。“CPUID”は「6E8」となっている。これは、Pentium M 770(Dothan)の「6D8」に比べ、中位のモデル番号が1つ増えた形で、Core DuoがPentium M系の正常進化系であることを示している。
 製造プロセスは65nmに微細化と、FSBが166MHz(実効666MHz)に引き上げられ、SSE3がサポートされていることも見て取れる。
 「Sandra」でCPUの詳細スペックを見たのが画面2。Pentium 4/D系と比べて特徴的なのは、64bit対応していない(「拡張した特長」に“EM64T”が表示されていない)、36ビットアドレス空間の非サポート(“PSE36”が×)、それに、VTで知られる仮想化機構“VMX”がサポートとなっている点だ。

画面1 左がCore Duo、右がPentium M(Dothan)。“CPUID”のModel欄が“D”から“E”になり、“Instructions”にSSE3が追加、FSBが133.3MHzから166.2MHzになっているところが主な変更点。Core Duoは確かに2つのコアが認識されている
画面2 「Sandra」で見たCore Duo CPUの細かな機能。“VT”をサポートしていると表示されている一方、デスクトップCPUでは通常サポートしている“PSE36”(アドレス空間を36bitに拡張する機能)や64bit拡張“EM64T”がハズされている。当然“Enhanced SpeedStep”には対応

 Core DuoはPentium Mのデュアルコア相当と書いたが、Pentium Dのような、シングルコアのCPUを2つくっつけただけのものに比べ、はるかに手の込んだ設計になっている。性能面で特に重要なポイントは、コア同士がダイ上でダイレクトに接続されていることと、2次キャッシュを2つのダイが共用していることだ。
 前者のメリットは、1次キャッシュ内データの整合性維持のためのスヌープなどの処理をFSBを経由せず、コアのフルスピードで処理できることだ。速度面でも、また低速で逼迫しているFSBに負担をかけない点で、Pentium Dに比べ有利だ。ちなみにAthlon 64 X2は、同様にコアはオンダイで接続されている。
 後者は、キャッシュメモリの有効利用と、オーバーヘッド削減をもたらす。Pentium DやAthlon 64 X2のように、コアごとに個別にキャッシュを持つ方法であると、片方のコアが1MBに入りきらないような大容量のデータを扱う処理の場合、データを低速なメインメモリに待避・復帰させる必要が生じ、スピードの足を引っ張ることになる。しかしCore Duoのように、両コアが2MBを共用する方式では、もう片方のコアがあまり動いていない、あるいは大きなキャッシュ容量を必要としてない場合には、ヘビーな作業を行なうコアが最大2MBまでキャッシュを使うことができる。また、コア1による処理結果をコア2が参照するケースでは、分離型2次キャッシュの場合、一度コア1内キャッシュの内容をメインメモリに書き戻してそれをコア2が参照するか、うまく作ってもコア1のキャッシュ内容を一度コア2のキャッシュに転送してからのアクセスになる。しかし、Core Duoの場合にはコア1の処理結果をコア2がダイレクトに参照できる。

 このほかにも、

・SSE3の装備
・μops fusionを強化してSSE系命令の性能を向上
・浮動小数点演算の強化
・整数割り算命令の高速化

 なども行なわれている。

 こう聞くと、Core DuoはPentium M×2+α、という印象を受けるが、1つ留意しておかなくてはならないことがある。それは、Pentium Mにはもともと2MBのキャッシュが搭載されている点だ。したがって、共有キャッシュが4MBになっているのであれば、あらゆる意味でPentium M×2をしのぐと言えるが、Core Duoはそうとは言えない。具体的に言えば、2つのコアに、それなりのメモリを必要とする重い処理が入った場合、各コアは2MBのキャッシュを全部は使えない。仮に両コアが1MBづつを使うとすると、これはDothanデュアルというよりは、キャッシュ1MBのBaniasのデュアル相当ということになる。
 なお、シングルスレッドのアプリについては、Core Duoは片方のコアだけが動き、2MBのキャッシュをフルに使うことになるので、Pentium Mとキャッシュ条件はほぼ同じになる。
 まとめると、シングルスレッドのテストでは同クロックのPentium M以上(FSBがアップしている点、SSE3などのコアの強化)、マルチスレッドのテストではデュアルコア化による性能向上があるが、1コア当たりのキャッシュ量がPentium Mより少し減るため、Pentium 4→Pentium D、あるいはAthlon 64→Athlon 64 X2に比べると性能上昇幅が少し落ちることが予想される。さて実際はどうだろうか。

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