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これだけ読めば大丈夫 2002年度上期総復習(9月29日号) ~ 2002年4~9月期のニュースからチェックする市場・企業動向編

2002年09月29日 00時00分更新

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2002年度も9月末が近づき、早くも折り返し地点を迎え、上期の終わりを締めくくる先週と今週は、2週にわたって2002年度上期の注目ニュースを振り返っている。今回は、『これだけ読めば大丈夫』にランクインした記事をメインに、上半期のニュースをキーに市場・企業動向をチェックしていく。

【市場動向調査】

ガートナーの調査・統計に見る
2002年度上半期の市場動向

IT産業系企業向けのアナリスト/コンサルタント会社であるガートナージャパンによる調査・統計発表は、市場の動きを見る上でひとつの指標となる。そのため、本サイトでも数度に渡ってガートナーの発表に関する記事を掲載している。

ガートナー調べによると、4月に世界で10億台目となるパソコンが出荷されたという。ここまでにかかった時間は約25年。2007年~2008年初頭には20億台に達すると予想しており、市場自体の成長は今後も継続するようだ。しかし、今年の夏商戦は各社とも昨年より苦戦していたという話も出ており、短期的に見ると必ずしも楽観視はできないだろう。ガートナーによる予測では、ブロードバンド(10Mbps以上)の普及を原動力に、パソコン産業が押し上げられると見ている一方で、今後も産業内の合併や統合が続くとしている。先週掲載した総集編にもあるとおり、ブロードバンドに関係したニュースは非常に注目度が高い。今後はサービスやコンテンツ自体が重要になってくるだろう。

急成長にわずかながらかげりが見えてきた感がある携帯電話市場。7月23日発表の2002年第1四半期終了時の状況に基づいて算定された2006年までの予測によると、2001年には販売台数が前年割れになっていたが、2002年以降は緩やかな成長傾向に転じると予測されている。詳細を見ると、新規契約の伸びは今後も鈍化傾向にあるとしているが、次世代端末やサービスへのユーザーニーズが成熟することなどから、買い換え市場は今後も加速度的に拡大するとしている。日本での販売台数は、平均5.3%の年成長率で緩やかに増加、2005年以降は端末単価の高いW-CDMA方式端末の販売が急増し、金額ベースでは2005年以降に急速に市場が拡大、2002~2006年における平均年成長率は11.7%に達する予測。普及率が高くなったことから、これまでのような新規契約の純増は見込めないだろうが、パソコン市場と同様、次世代規格の成熟と普及から来る買い換え需要による市場の成長は今後とも期待できる。メールから始まり、ウェブブラウジング、Javaアプリケーション、カメラ、高速通信と機能的な成長が続く携帯電話だが、パソコン同様こちらでもコンテンツの成長を期待したい。



【業界再編・大型合併】

大物カップルついにゴールイン
“新生HP”がスタート

米HPのサイトから日本HPのサイトにジャンプするとまず最初に表示される画面がこれ。日本法人設立は間近だ
4~9月期での大きな企業ニュースは、米ヒューレット・パッカードと米コンパックコンピュータの合併の話題だろう。昨年9月に第一報(合併合意)が伝えられたのち、3月に米連邦取引委員会(FTC)による合併の認可と、米HP/米コンパックそれぞれの株主投票による合併の承認がなされた。これを受けて4月には、米HP創業者一族のヒューレット氏を中心とするOB株主から投票無効を訴える訴訟が起こり、4月30日にこの訴訟が棄却になり、日本ではゴールデンウィーク中である5月3日、「コンパックとの合併業務が完了し、週明け6日のニューヨーク株式市場が開く前にコンパックの株式の取引を停止して“HPQ”(以前の米HPはHWP、米コンパックはCPQ)というコードでの取引を開始する」というリリースが発表され、様々な紆余曲折を経てついに合併が成立した。

合併に至る昨年来の経緯、今後のラインナップ構成や方向性などは、「これだけ読めば大丈夫」のこちら(5月6日掲載)およびこちら(5月13日掲載)で詳しく説明していたので参照していただきたいが、業界を代表する大手同士の合併ということで、当然ながら本サイトでの注目度も非常に高かった。5月に発表されたロードマップに従い、日本でも、従来のHP製品、従来のコンパック製品の製品が“新生HP製品”と銘打って発表されている。すでに営業部門の統合は完了し、合併・統合された新しい日本法人は11月1日に設立される。プリンターや個人向けパソコンからサーバーハード/ソフト群まで、強力な製品とワールドワイドでの展開を誇る新しい“巨人”の動向は、今後のコンピューター業界にどのような影響を与えるのか。本国での合併が正式に成立して半年が経ったが、今後もその動きには注目だ。また、前述のガートナーによる市場予測にもあるように、産業内の合併や統合は今後の業界動向の重要なキーになりそうだ。HP&コンパックのような“大物カップル”や、業界上位の企業を脅かす新しいカップルは今後出てくるのだろうか!?





【企業間競争】

Yahoo! BB vs イー・アクセス
サン vs マイクロソフトなど
インターネットを巡る勢力争い続く

プラットフォームやインフラ、標準規格を巡る“勢力争い”は産業界では日常茶飯事のことだが、この上半期のIT業界、特に本サイトで取り上げたニュースの中でも、このような競争に関する話題は注目の的となった。特にヒートアップしたのが、12Mbps ADSLサービスを巡る争い、そしてネットワークサービスを巡る争いの2つだ。いずれもインターネットやネットワークをキーとした話題という点も面白い点だ。

まず第1の12Mbps ADSLサービスに関する話題では、“Yahoo! BB vs イー・アクセス”の対決だ。イー・アクセスは6月19日、“G.992.1 Annex C”に準拠した下りが最大12Mbps/上りが1MbpsのADSLサービス“ADSLプラス”を発表、一方の“Yahoo! BB”は6月27日、Annex A.exの採用によって最大通信速度(リンク速度)を従来の8Mbpsから12Mbpsに引き上げ、サービス可能な回線収容局からの距離も5~6km(従来は2~3km)に延長する“Yahoo! BB 12M”の試験サービス開始を発表した。と、ここまでは2種類の異なる規格によって両社がさらに高速かつ長距離OKなADSLサービスを開始する、というだけのニュースなのだが、イー・アクセスが行なった“ADSLプラス”に関する技術説明会において、「“Annex A.ex”はほかのADSL通信に悪影響を与える可能性がある」「A.exは情報通信技術委員会(TTC)への提案なしに進められ、民間企業同士による自主的な話し合いによる技術の進展を求める総務省の方針に反するため、総務省に対して(抗議の)文書を提出した」との見解を明らかにしたことから、急激に過熱。7月17日にはソフトバンクが“Yahoo! BB 12M”に関する記者説明会を開催し、孫正義氏が「TTC(情報通信技術委員会)の標準化うんぬんで(Yahoo! BB 12Mが)なにか問題があるかのような報道がなされているが、これは全くの誤解によるもの」「(“Annex A.ex”は)国際規格であるITU-Tに準拠したものであり、何ら問題はない」と述べている。企業間の価格競争で“世界でもトップクラスの低価格ブロードバンド環境”になった日本だが、回線の高速化とサービス可能距離の延長は、ユーザーからすれば非常に大きなメリットで大歓迎のことだ。しかし、もし実際に規格が乱立することによる“技術的な問題”が通信環境に悪影響を及ぼしたり、“政治的な競争”がサービス運営自体に何らかの影を落とすことがありでもしたら、最終的なしわ寄せは恩恵を受けるはずのユーザーに降りかかってくる。この件に関しては、編集部としても続報をお届けしていきたい。

熾烈な“舌戦”の内容を含む記事の掲載自体は昨年度(とはいっても3月だが)だったものの、8月4日号で『Microsoft Visual J# .NET 日本語版』の話題を取り上げた際に、合わせて再度注目を浴びるに至ったのが、サンマイクロシステムズとマイクロソフトによるネットワークサービス構想、つまり『Sun ONE』と『Microsoft .NET』による勢力争いだ。両社の発言はかなり過激になっており、サン・マイクロシステムズ社のスコット・マクニーリ(Scott McNealy)会長兼CEOが「Sun ONEはすべてオープンな技術・インターフェースからなり、.NETはマイクロソフトの独占的な技術・インターフェースを持っている。Sun ONEは64bitだが、.NETは32bitだ。Sun ONEは顧客が自分でコミュニティーを作るのを助けるが、.NET(マイクロソフト)はそれを顧客から取り上げPassportという形でハイジャックしようとする。Sunは共有(Share)し、Microsoftは盗む(Steal)。これが基本的な2つのアーキテクチャーの違い。つまり、人類とマイクロソフトの戦いなのだ」「Sun ONEはネットワークに対してプラグインでき、あらゆるプラットフォームを統合できる。オープンスタンダードを利用するので、数ある中から最高のものを使用できる。しかし、Microsoft .NETではマイクロソフトのものを使わなくてはならない。溶接でもされたようにマイクロソフトは自分たちの世界に閉じこめてしまうのだ」と発言した翌日には、米マイクロソフト社バイスプレジデントTom Button(トム・ボタン)氏が「Webサービスでサンをリーダーとはみなしていない。WS-Iにも加わってもらえなかった。この先、サン、あるいはSun ONEは大きな競合相手という位置付けにはならない。テクノロジーがない分、口でマイクロソフトを批判しているのだと思うが、Sun ONEにアドバンテージはないとみている。多くのトラブルを抱えた会社の最後のあがきだろう」と述べており、これらのことからも、ネットワークサービスにおける両社の“力の入れよう”が十分わかる。

“企業間競争”を単なる興味本位で覗くのは、言葉は悪いがなかなか興味深く面白いものだったりもしてしまうのだが、今後の通信インフラの発展に影響しそうな問題や、今後のネットワークサービスの行方を左右する超大手同士の真っ向勝負は、一般ユーザーや、サービス提供者や開発者といった非常に広い範囲のユーザー、企業に影響を及ぼしかねない。いずれの対決とも今はまだ最終結論が出揃ったわけではないが、今後の各社の動向を見守る必要は大いにありだ。

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