比類なきモバイルノートを早速分解!?
type Z 解体天国:軽さとデザインの秘密は?(前編)
2008年07月16日 16時00分更新
妥協なきプレミアムモバイルを目指してソニーが開発した「VAIO type Z」(関連記事)。パフォーマンスと携帯性、そしてデザイン──これらを高い次元で融合させたエグゼクティブノートはいかにして誕生したのか? 製品設計担当者への取材を通じて、そのコンセプトと技術に迫るのがこの企画だ。
今回はtype Zのプログラムマネージャーである林氏と、設計チームのプロジェクトリーダーである宮入氏に、目の前で実際に分解してもらいながら、type Zの特徴となるポイントについてご説明いただいた。
「なにかを諦めなくていい」モバイルノートを目指して
――(type Zを持ち上げながら)私は旧機種のSZシリーズを使っていたのですが、SZってやっぱり、「よっこらしょ」という感じがありました。これは、まったくないですね。
林 私はSZのときもプログラムマネージャーをやっていました。SZにはいろんな要素が詰め込むことができ、自分でもかなりいいところまで持ってこれたという手ごたえがありました。しかし、モビリティーに関しては、まだまだ自分自身で納得できない部分があったんです。今回はそこもかなり改善できました。より理想に近付いたと思っています。
宮入 バッテリー駆動時間も含めて、超低電圧版(ULV)のCPUを搭載するクラスのマシンと、ほぼ遜色ないところまで来たなと。通常電圧CPUと外付けGPUを使っているけれども、ULVマシンの使い勝手を実現しながら、パフォーマンスだけは通常CPUのまま。かなりのいいとこ取りができていると思います。
林 「なにかを諦めなくていい」というね。
――「なにかを諦めなくていい」というのを、毎回キーワードにされているようですね。
宮入 そういう思いは強いですね。(小型化のために)なにか諦めちゃうものって多いと思うんです。今回は3ポンド(約1.36kg)を切る重量(最軽量時で1.35kg)にしましたが、この構成で光学ドライブも内蔵しているんですよね。本当に今までない領域に来たなと思います。
――アップルのMacBook Airは、光学ドライブなしですからね。比較用に持ってきましたが……。(ここで筆者がMacBook Airを取り出す) type ZとMacBook Airとでは、まったく別の性質の商品だろうなと思います。
宮入 競うつもりはないですが、3ポンドという重さで、なにかを諦めずにしっかりとビジネスで使えるパソコンとしてうまくまとまったなと。
林 (MacBook Airを示して)とはいえ、まだ我々も見習うべきところがあるな、とは思っています。
――例えば、MacBook Airでも、中のマザーボードや放熱設計の作りなどを見ると、やっぱり製造元がFoxconnだなと感じます。しかし、その前のデザインワークとかコンセプトの作り方は、細かいところまで「ジョブズ氏がうるさいんだろうな」と感じさせる作りですよね。
編集部 Airを見て「すごい」とは思うのですが、すごいのは「ジョブズがすごい」であって、設計そのものがすごいとはあまり思わないですね。
林 我々にはジョブズ氏のような天才はいませんが、全員できちんとひとつひとつ考えて、ここまで高めるという点では、負けていないと思うのです。
――よく分かります。MacBook Airは積み上げた完成度ではなく、アートの完成度に近い。世界観の違う、別のカルチャーの商品だと思いますね。

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