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山谷剛史の「中国IT小話」 第26回

世紀末で救世主伝説的な「中国の公衆電話」事情

2008年04月30日 02時17分更新

文● 山谷剛史

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昔から壊されまくってきた公衆電話


 中国の有力なニュース検索サービスである、百度の新聞(関連リンク)で「公用電話(公衆電話) 破壊」をキーワードに見てみた(検索結果)。

百度新聞

百度新聞

 4月25日現在の公衆電話破壊に関するニューストピックはこんな感じだ。4月14日に天津のメディアがこの問題を取り上げ、4月8日には威海で、3月27日には煙台で、3月14日には成都で現地メディアがそれぞれこの問題を取り上げている。同サービスが検索した最も古いものでは2003年6月に、公衆電話損壊に関する問題提起を行なうニュースが確認できる。

 こんな感じで2003年までさかのぼれたが、筆者の知り合いの中国人に聞いても、この問題は公衆電話機ができてからずっと発生していて解決されない問題だという。

 公衆電話破壊の規模の例を紹介しよう。4月14日の天津発のニュースによれば、天津市全域で2万7000台、天津の市街地で1万2000台の公衆電話の修理が必要だと報じている。そのため天津の公衆電話の事業者である中国網通では毎年300万元(約4500万円)を公衆電話修理費用として投入しているそうだ。



公衆電話が壊される意外な理由


 ではなぜいかにして壊されるのか。電話機に直接与える原因としては、利用者の乱暴な利用と、ICカード挿入部分に紙やタバコの箱やガムなどを押し込むいたずらが最も多いようだ。また公衆電話の庇や、公衆電話機の部品、ないしはそれ自身が盗まれるのは、そういった部品が金属として売れるため。地中の銅線を盗むがごとく拝借するのだ。

多機能な公衆電話(稀?)

多機能なタイプの電話機も存在する

 現在は中国で5億5000万人が携帯電話を利用しているという統計があり、さらにますます携帯電話利用者は増える。前述の天津のニュースによれば、携帯電話の普及により、同市の2007年の公衆電話による売上げは2006年の半分に、利用時間は2年前の5分の1に減少したという。

 携帯電話の普及で公衆電話の利用者が減れば、利用者により故障であることが気付かれる頻度は減るし、売上げが減ったことで、公衆電話の修理にかける費用も減るだろう。

 中国で公衆電話機が登場する前は、公衆電話といえば小さな商店が店の軒先に電話を置いて、利用したい人がそれを利用するという有人のものであった。公衆電話機が登場すると「既存の有人公衆電話の商売敵になるから」という理由で、有人公衆電話関係者により密かに公衆電話機が壊されるというニュースが昔は結構あったことを覚えている。

 今は愉快犯や手荒な利用者、金儲けといった理由で公衆電話が壊されているが、昔はこんな理由でも壊されていた。

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