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山谷剛史の「中国IT小話」 第26回

世紀末で救世主伝説的な「中国の公衆電話」事情

2008年04月30日 02時17分更新

文● 山谷剛史

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 さまざまな見方から話題となっている北京オリンピック。現地で観戦する人にとっては、通信手段が気になるところだろう。

 中国のホテルでの通信利用方法や、日本の携帯電話を持ち込んで中国で利用する方法といったことは、すでに他のIT系メディアで報じられているので書かないとして、ここでは公衆電話の事情について紹介したい。実は公衆電話の事情はかなり難儀だ。北京オリンピックを迎える北京市内ですら、結構な割合で電話が使えないのだ。



電話が使えない金属の塊になるまで


 それはなぜかというと結構な確率で公衆電話が壊れているからだ。それも100台に数台とかそんな生やさしいレベルではなく、筆者個人の経験としては50%以上の確率だ。

無残な公衆電話

青色の庇の一部がわずかに残り、受話器がもぎとられた公衆電話

 どう壊れているか。電話機の液晶パネルに故障中と表示されているならかなりのお利口さんだ。故障中という張り紙が電話機に貼ってあれば、故障とわかるのでこれもいいほうだ。

 困るのは、テレホンカードを差しても何の反応もないという場合。中国に慣れた筆者ですら何回かカードを差しては抜いて「ああ壊れているんだな」と判断している状況、中国未経験者であれば「自分がどこか間違っているのではないのか」と、これでもかと試行錯誤するだろう。


 「そんなに故障が多いとは、どれだけ壊れやすい電話機を生産しているんだ?」と疑問に思う読者もいるかもしれない。

 確かに筆者が遭遇した空港内の公衆電話は故障率がかなり高かった。

 壊れやすい、長持ちしないつくりであるというのは一因としてあろう。また中国のモノづくりを考えるときに、作ってしまえばそれでおしまい、メンテナンスを重視しない、といった傾向が多くの中国メーカーに見られるので、壊れてもほったらかしとなり、それが原因で故障した公衆電話の数が驚くほどあるというのも一因にあろう。

 公衆電話が使えないただの金属の塊となる理由としては、そういった内的要因よりも、外的要因によるものが多い(つまり壊されるため使えない)。例えば、大通りの歩道に立つ公衆電話機には雨避けのための庇(ひさし)があるのだが、これが何者かに奪われてしまうと、無残にも電話は水浸しになって、使い物にならなくなる。

さびしい公衆電話(跡地)

電話機をまるごと持っていかれたようだ

さびしい公衆電話(跡地)

こちらは電話がまるごと持っていかれた、と思われる柱

 庇が取られるだけでなく、ときに公衆電話の受話器などの部品や、とき公衆電話自身が盗まれてしまい公衆電話機を固定するための柱だけが残る、ということもあるのだ。

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