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キャリア・ピックアップ 第30回

ユビキタス社会のインフラとして大注目! 地産地消のエコな「振動力発電」とは

2008年02月27日 17時00分更新

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試作1号機の発電量は微々たるものだった

 振動力発電の研究の成果を聞いていると、なぜこれまでに圧電効果を利用した発電機が開発されてこなかったのか不思議に思うが、今のところ実際に圧電効果が使われているのは、100円ライターやガスコンロなど実に少数の製品なのだそうだ。そのわけは「そもそも圧電効果は発電効率がよくない」ということにある。速水さんの研究開発でも、それは例外ではなかったようだ。

「まず、私の研究は振動ではなく音を使った発電『音力発電』から始まりました。きっかけは、小学校の理科の時間に習った『モーターと発電機の仕組みの逆』です。モーターは電気で回るけど、逆にモーターを回すと電気ができるという実験から、それならスピーカーでも同じことができるのでは? 音から発電できるのでは? と私は思ったのです。実際に研究を始めたのは大学2年生のときで、研究のテーマとして取り上げました。でも、『音が持つエネルギーは少く発電には向かない』という定説があったようで、研究会では先輩方に反対されましたね。それでもテーマとして選び研究を始めたのですが、試作1号機で発電できた電気量は、LED1個がやっと点く程度でした」

 速水さんの発電効率との闘いが始まる。3カ月後は成果が出なかった。だが、さらに3カ月後、速水さんはこれまでスピーカー自体を振動させていたところから、振動膜(共振膜)を振動させる構造に変えることで、発電効率を飛躍的に高めることに成功したのだった(共鳴音力発電)。

「この成果によって、研究会での評判もよくなり、この研究に対して手ごたえを感じました。その後も発電効率を高める研究を続けていき、この技術を生かす形で大学2年の終わりに振動力発電の研究を始めたのです。そもそも振動が持つエネルギー量は音が持つものよりも大きく、しかも集めやすいので、現在は実用化が早いと思われる振動力発電を主に研究を進めています」

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