米インテル社会長兼CEOのポール・オッテリーニ(Paul Otellini)氏は7日(現地時間)、CES 2008会場にて基調講演を行なった。インテルは同日、45nmプロセス世代の新CPUなどの発表を行なったが(関連記事)、講演テーマはCPUではなく「パーソナルインターネット」。携帯型インターネット機器や自然なインターフェースを使ったサービスなど、現在~近い将来の技術による新しいユーザー体験の実現についてが語られた。
主役はネットとサービス プロセッサーは脇役
記者としてはいささか予想外だったが、オッテリーニ氏の講演は最新の自社プロダクトや技術のアピールするものではなく、あくまでインターネットとサービスの話題に終始した。そのため、オッテリーニ氏は45nmプロセス世代のCPUについて長々と語るようなことはなく、「新しいサービスを実現するには、強力なプロセッサパワーが必要である」と控えめにアピールした程度。あくまでも主役は新しいユーザー体験を実現するサービス「パーソナルインターネット」というわけだ。
まず講演の序盤で披露されたのは、北京オリンピックに合わせて中国を訪れた観光客、という舞台設定で、携帯型インターネット機器(MID:Mobile Internet Device)を使ってどのような体験が得られるかのデモであった。
MIDに内蔵のカメラを使って中国語の道路標識を撮影し、画像認識機能を使って英語に訳したり、MID上で動く自動翻訳ソフトを使って、地元の女性と会話するといったデモが披露された。いずれも現実的なシチュエーションを例にしており、MIDを活用することで、言葉が通じず勝手の分からない環境でも快適な旅を楽しめるようになるだろう、というメッセージが明快に伝わってきた。
こうした新しい体験を実現するための基板となる技術として、オッテリーニ氏は同社の最新半導体製造プロセスの特徴と、“システムオンチップ”「Canmore」(ケンモア)、UMPC用の新アーキテクチャー「Menlow」(メンロウ)を紹介した。
Canmoreはデジタル家電用のシステムオンチップで、x86アーキテクチャーのCPUコアを核に、メモリーコントローラーやGPU、I/Oなどを1チップに集積している。最新PCのパワーには及ばないだろうが、1080pのフルHD映像のデコードや3Dグラフィックス機能を用いたゲームなど、これからのデジタルテレビやセットトップボックスに求められる機能を、1チップで実現できるとしている。
一方のMenlowは別の記事にもあるように、UMPCを構成するための低消費電力なプラットフォームである。45nmプロセス世代のCPU「Silverthorne」を中核とする。Silverthorneは低消費電力を重視しているため、動作クロックは1GHz以下程度と遅いものの、Windows XPやWindows Vista Basic程度を動かすパワーがある。マシンパワー面での制約が多いスマートフォンでは難しい、リッチなウェブコンテンツも快適に利用できる。