インテル(株)は2日、携帯型インターネット機器(Mobile Internet Device:MID)や組み込み機器向けの超低消費電力CPU「Intel Atomプロセッサー」5製品と、同CPUにチップセット(SCH)を組み合わせたプラットフォーム「Intel Centrino Atom プロセッサー・テクノロジー」を発表した。CPUとチップセット合わせて平均1W程度と、非常に低い消費電力を特徴とする。
発表されたCPUは、最新のCore 2 Duoプロセッサーなどと同じ45nmプロセスで製造された、コード名「Silverthorne」と呼ばれていたCPU。PC用CPUと同じ32bit x86命令をサポートする(当然Windows Vista/XPも動作する)が、PC用CPUの小型・低消費電力版ではなく、MID用途向けに新規に設計されたCPUとなっている。
CPUコアは1基だが、FSBクロック周波数533MHzの上位品は、1コアで複数スレッドを並列動作させる「Hyper-Threading Technology」(HT)に対応する。トランジスター数は約4700万個、ダイサイズは約24mm2(7.8×3.1mm)と、45nmプロセスで製造されるインテルCPUの中では最小のCPUとなっている。ラインナップは以下の5種類(価格は、1000セット受注時の1セット当たりの価格)。
プロセッサーナンバー | Z500 | Z510 | Z520 | Z530 | Z540 |
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動作周波数 | 800MHz | 1.1GHz | 1.33GHz | 1.6GHz | 1.86GHz |
2次キャッシュ | 512KB | ||||
FSB | 400MHz | 533MHz | |||
HT対応 | 非対応 | 対応 | |||
TDP | 0.65W | 2W | 2.4W | ||
平均消費電力 | 160mW2 | 220mW2 | |||
アイドル時消費電力 | 80mW | 100mW | |||
価格(CPU+SCH) | 4530円 | 6550円 | 9570円 | 1万6110円 |
同時に発表されたチップセットは、「インテル システム・コントローラー・ハブ」と呼ばれるもので、同社のウェブサイトによれば、「UL11L」「US15L」「US15W」の3種類のバリエーションが存在する。SCHには、DDRメモリーコントローラーや3Dグラフィックス機能(DirectX 9LとOpenGL対応)、HDオーディオやI/Oコントローラーなど、PCのノースブリッジ(ICH)とサウスブリッジ(ICH)の機能が統合されている。さらに、グラフィックス機能には1080i・720pのHDビデオデコード支援機能も搭載されているため、Centrino Atom採用マシンではHDビデオの再生が可能としている(UL11Lはのぞく)。
ちなみに、PCでの「Centrinoプロセッサー・テクノロジー」では無線LANモジュールも規定されているが、Centrino Atomでは無線LANモジュールは規定されていない。これは、MIDの場合、製品の機能やターゲット市場によって、必要となる無線通信機能が異なるためと思われる。
