iTunes Storeの撤退もあるか?
進まないレーベル会社の参加 PC向け音楽配信のキビしい現実
2007年12月10日 10時00分更新
IT系メディアやインターネットで話題に上る機会の多いパソコン向け音楽配信サービス。
その代表選手といえば、アップルの「iTunes Store」だ。しかし、ダウンロード数に限ってみると、国内では「着うた」など携帯電話向けのサービスが圧倒的で、パソコン向けのサービスはそれほど伸びていない(関連記事1)。
一方で撤退や統合も相次いでいる。例えば、ニフティ(株)は、約1ヵ月前に、同社が提供している音楽配信サービス「MOOCS」(ムークス)を2008年3月上旬にリニューアルすると発表した。SD-Audio形式を利用した音楽配信は終了し、コミュニティー機能を備えた音楽情報サイトとして存続させるという(関連記事2)。
今、パソコン向け音楽配信サービスでは何が起こっているのか。ITジャーナリストの津田大介氏に話を聞いた。
【解説】MOOCS
2005年10月に始まった有料の音楽配信サービス(関連記事3)。ダウンロードした楽曲は、パソコンではWindows用の音楽プレーヤー「MOOCS PLAYER」(または「SD-Jukebox」)を使って再生が可能。ダウンロードした楽曲をSDメモリーカードにコピーすれば、携帯音楽プレーヤーや携帯電話機でも音楽を楽しめる。
サービスの統廃合が相次ぐ
── 音楽配信サービスは、今どんな状況ですか?
津田 ニフティだけでなく、同業他社でもサービスの整理が始まっています。9月には「MSNミュージック」と「エキサイト・ミュージック・ストア」が終了しました。また、今年の2月には、NTTグループが「goo Music Store」と「OCN MUSICSTORE」という2つの音楽配信サービスを統合して、「MUSICO」と名前を変えました。
── 今年に入って「勝ち負け」がはっきりしてきたということでしょうか?
津田 パソコン向けの音楽配信サービスは、2004年に雨後のタケノコのように爆発的に数が増えたんです。国内大手の音楽配信サービスだったレーベルゲートに、東芝EMI(現・EMIミュージック・ジャパン)やワーナーミュージックが合流して「mora」というブランド名で再オープンしたのも2004年※ですね。でも、その半分くらいが今年に入ってなくなってしまった。
※ちなみにiTunes Store(旧iTunes Music Store)のスタートは、米国が2003年4月、日本は2005年8月。
(次ページに続く)
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