iTunes Storeの撤退もあるか?
進まないレーベル会社の参加 PC向け音楽配信のキビしい現実
2007年12月10日 10時00分更新
日本では「iTunes Store」より「mora」
── 国内の配信サイトの現状を整理していただけますか?
津田 国内で一番強いのは、すべてのレーベルの楽曲がそろっている「mora」です。iTunes Storeも健闘はしているようですが、ほかの国のようにiTunes Storeのひとり勝ちという状況にはなっていないようです。
日本はすでに着うた中心になってしまったので、パソコン向けのサービスは膠着状態が続いています。正直、どこまで持つのかというサービスも少なくないでしょうね。
── iTunes Storeもあまり売れていないんでしょうか?
iTunes Storeも米国などと比べて、厳しい状況が続いているでしょう。日本の場合レンタルCDという特殊な市場があるため、iTunes Storeもなかなか伸びない。ただ、レンタルのおかげでiPodは売れるので、極端な話、iTunes Storeがなくてもいいという考え方もできます。
ただ、アニメコンテンツなど、日本には音楽だけでなく、動画で魅力的なコンテンツがたくさんあるので、それを売るためのウィンドウとして日本のiTunes Storeの撤退はしにくいという状況もあるんじゃないでしょうか。
── 今後、パソコン向け音楽配信サービスが好転する要素はありますか?
津田 結局のところ、「各レコード会社がどこまで本気になるか」にかかっていると思います。大量にコンテンツを出して、カタログを充実できるかどうか。また、今後はレディオヘッドのように、アーティストサイドから新しい提案が出てくるかもしれません。こういった部分もポイントになってくるのでは、ないでしょうか(関連記事)。
筆者紹介──津田大介
インターネットやビジネス誌を中心に、幅広いジャンルの記事を執筆するライター/ITジャーナリスト。音楽配信、ファイル交換ソフト、CCCDなどのデジタル著作権問題などに造詣が深い。音楽配信関連の話題を扱うウェブサイト“音楽配信メモ”の管理人としても知られる。この8月に小寺信良氏との共著で『CONTENT'S FUTURE』を上梓。
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