米Sony BMG Music Entertainment社は9日(現地時間)、15日にギフトカードを使った音楽配信サービス「Platinum MusicPass」を米国で開始すると発表した。また、10日には、米Amazon.comの音楽配信サービス「Amazon MP3」に楽曲を提供することも明らかにしている。
これらは、ともに「DRMフリー」のMP3ファイルを配信するサービスとなる。
欧米ではメジャーレーベルによる、DRMフリー楽曲の配信が活発化している。先鞭を付けたのは、英EMI Music。同社は2007年4月にiTunes Storeで、iTunes Plus対応楽曲の配信を開始(関連記事)。それに続いて、米ユニバーサル・ミュージック・グループも8月に試験販売をスタート(関連リンク1)。12月末には、米ワーナー・ミュージック・グループがAmazon MP3にDRMフリー楽曲を提供し始めた(関連リンク2)。
これに今回のソニーBMGが加わることで、「世界4大メジャーレーベル」が、すべてDRMフリー楽曲を扱うこととなった。不正コピーを防ぐためにDRMを強化する方向に向かっていたレコード会社が、なぜ揃って方針転換したのか。音楽・ITジャーナリストの津田大介氏に聞いた。
【解説】Platinum MusicPass
量販店/小売店でプリペイドカード(ギフトカード)を使って、MP3などの楽曲を購入できる、小売店連動型の音楽配信サービス。アルバム1枚の価格は12.99ドル(約1425円)。サービス開始時には、アリシア・キーズの「As I Am」やアヴリル・ラヴィーンの「The Best Damn Thing」など、37タイトルを用意する。
ちなみにDRM(Digital Rights Management)は、楽曲ファイルをコピーできる機器やメディア、回数などを管理するための仕組み。例えば、iTuens Storeで売られているAAC形式の楽曲には通常、「FairPlay」というDRMがかけられており、iTunesやiPod以外では再生できない。ただし、DRMフリーの「iTunes Plus」楽曲なら、AAC形式に対応したすべてのプレーヤーソフト/携帯音楽プレーヤーで聴ける。

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