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ASCII Power Review 第100回

ニコンのフルサイズミラーレスカメラ「Z」シリーズのフラッグシップ「7」と「6」がリニューアルしました

Nikon Z7Ⅱ / Z6Ⅱ 実機レビュー = エンジン能力UPで連写もAFもキモチいいのだっ!!

2020年10月14日 13時00分更新

文● 写真 岡田清孝 + 編集● ASCII PowerReview軍団

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 ニコンは10月14日、フルサイズミラーレスの新製品「Z7Ⅱ/6Ⅱ」を発表した。

 2018年に発売した初代機「Z7/6」のバージョンアップモデルで、画像処理エンジン「EXPEED6」を2基に増設したことで、AFや連写などのレスポンスが向上。デュアルスロットの採用や縦位置バッテリーパックにも対応し、4K60Pの動画も撮影可能になったのが主な進化ポイントだ。

 「Z7Ⅱ」は予想実売価格39万8200円で、12月発売予定。「Z6Ⅱ」は予想実売価格26万8400円で、11月6日発売予定となっている(ともに税込)。

 ただし、4K60Pは当初「Z7Ⅱ」のみ利用可能で、「Z6Ⅱ」は、ファームウェアのアップデートでDXベース(APS-Cフォーマット)の4K60Pに対応予定である。また、今回試用した製品は発売前の評価機のため、一部動作や画質は実際の製品とは異なる場合がある。

「Z7/6」がリニューアルされ「Z7Ⅱ/Z6Ⅱ」として新登場。レスポンスや動画機能が強化された。

「Z7Ⅱ」は予想実売価格39万8200円(税込)で、12月発売予定。

「Z6Ⅱ」は予想実売価格26万8400円(税込)で、11月6日発売予定。

連写速度もバッファ枚数もUP
AF性能も向上し
新レンズで大三元も達成!!

ボディーサイズはともに134(W)×100.5(H)×69.5(D)。重量はメディア・バッテリー込みで約705g

 性能の向上を整理しておくと、まず連写速度は、Z7ⅡではZ7の毎秒9コマから10コマに、Z6ⅡではZ6の12コマから14コマに向上し、連続撮影枚数も、Z7Ⅱで77コマ、Z6Ⅱで124コマへと増加している。

 低輝度でのAF性能も向上し、Z7Ⅱでは-3EV、Z6Ⅱでは-4.5EVと、両モデルとも1EVだけ暗さに強くなっている。ローライトAFはそれぞれ-4と-6EVで変わらない。

 AF性能では瞳AF、顔検出AFと動物AFが、オートエリアAFに加えて、ワイドエリアAFにも対応したうえ、動画撮影時にも効くようになった。動画ではHDR出力が10bitHDMI出力時に使用可能となった。

 液晶モニターでは、チルト時にはアイセンサーが自動でオフになり、EVFへ切り替わらなくなったほか、情報表示を完全にOFFにすることもできるようになった。

 レンズラインアップでは、「NIKKOR Z 14-24mm f/2.8S」が登場し、24-70、70-200と合わせて、おなじみ「大三元」が揃ったことになる。

2台並べて上面から見てみると、まったく区別が付かない。2台併用するならシールを貼るなどの工夫が必要かも。ちなみに写真上が「Z7Ⅱ」。

「Z7Ⅱ」で撮影。発色は派手過ぎず、それでいてメリハリがある。使用レンズ「Z 24-70mm F2.8」・絞りF2.8・シャッタースピード1/320秒・ISO100・ホワイトバランスオート。

「Z7Ⅱ」で撮影。拡大して細部を確認すると少しピントが甘い。これが高解像度機の怖いところ。使用レンズ「Z 24-70mm F2.8」・絞りF2.8・シャッタースピード1/800秒・ISO800・ホワイトバランスオート。

新しい「Ⅱ」の実機を使った
やはりデュアルスロットは安心なのだ

 ニューモデルは、ボディー外観上はほぼ変わりがなく、「Z7/6」と「Z7Ⅱ/6Ⅱ」の4台の製品ロゴを隠した状態で並べれば、おそらく誰も区別は付かないだろう。

 スペックをみると「Z7Ⅱ/6Ⅱ」のほうが厚みで2ミリ、重量は30グラムほど微増している。そのかわりメディアが待望(個人的に)のデュアルスロットになった。

 思い返せば「Z7/6」が登場した際に「何故デュアルスロットじゃないのか?」という問いに、「小型軽量化のため」と回答された記憶があり、今回「Z7Ⅱ/6Ⅱ」を見て「やればできるじゃん!」とツッコミたくなる気もするが、まずはデュアルスロット化してくれたことを有難く思おう。使用メディアはCFexpressTypeB (XQDカードも利用可能)とSD(UHS-Ⅱ)で、速度面と汎用性を兼ねそろえた理想的な組み合わせだ。

背面ボタン類の配置もまったく同じ。メニュー画面で画像サイズを表示させれば違いはわかる。

CFexpressTypeBとSDのデュアルスロットを採用。XQDも使用できるのは「D850」などのユーザーにとっては有難い。

「Z7Ⅱ」で撮影。「Z7Ⅱ」の高解像度を活かしたいのならISO6400程度が無難かも。使用レンズ「Z 24-70mm F2.8」・絞りF6.3・シャッタースピード1/4秒・ISO6400・ホワイトバランスオート。

「Z6Ⅱ」で撮影。適度なシャープ感と階調の滑らかさが好みの画質。使用レンズ「Z 24-70mm F2.8」・絞りF2.8・シャッタースピード1/640秒・ISO100・ホワイトバランスオート。

「Z6Ⅱ」で撮影。水面を漂う様子が面白くて思わずシャッターを切った。使用レンズ「Z 24-70mm F2.8」・絞りF9・シャッタースピード1/200秒・ISO400・ホワイトバランスオート。

 主な操作感は「Z7/6」から変わりはないが、改めてお伝えすると、グリップは適度なサイズと指に馴染む形状でホールド感は抜群。シャツターボタン周りに電源レバーを備え、構えた状態から即座にオンオフができる。コマンドダイヤルはシャツターボタンに人差し指を添えつつ、前は中指、後は親指で操作できる配置になっている。最小限の指の動きで操作できるのが快適だ。

 シャッターボタンの手前には「ISOボタン」を備え、慣れればファインダーを覗きながらでも素早く設定変更ができる。シャツターボタン右横には露出補正ボタンがあるが、AEモードで撮影するときは後コマンドダイヤルでダイレクトに変更ができる「露出補正簡易設定」のほうが使いやすいので、普段あまり使うことがない。できればカスタマイズで別機能を割り当てられるようになるとうれしい。

シャッターボタン周りの電源やISOボタン、前後コマンドダイヤルなど、とても操作しやすく配置されている。

 背面のAF測距点を移動するサブセレクターは小振りだがクリック感があって操作がしやすい。十字キーとその下のボタン類は少し配置が窮屈で誤ってボタンを押してしまうこともあった。この辺は慣れが必要だろう。

背面のサブセレクターの操作感は心地良いが、十字キーとその下は、ボタンを詰め込みすぎで少し窮屈だ。

 EVFのスペックも369万ドットと変わりはないが、覗いてみると光学系にこだわっただけあって肉眼に近いクリアな見え方である。最近ではより高解像度のEVFも登場しているが、まったく引けを取らない視認性だ。ただし撮影直後に自動で画像表示させると、ワンテンポまたされるのも相変わらずである。

 バッテリーは下位モデル「Z5」から採用された「EN-EL15c」に変更されている。撮影可能枚数は公称値で「Z7Ⅱ」で約380枚、「Z6Ⅱ」が約400枚(ファインダー撮影・パワーセーブ有効時)となっている。

 実際にテスト撮影してみたが、「Z6Ⅱ」ではRAW+JPEGで159枚、JPEGの連写で571枚撮影したところで残量が40%となった。ニコンのZシリーズはバッテリーの持ちが良い印象があったが、その点も継承されている。なお「Z7/6」」で採用していた「EN-EL15b」も使用は可能だが、撮影可能枚数は減少する。

バッテリーは新規に「EN-EL15c」を採用したが、2010年10月発売「D7000」以降のミドルレンジ機で採用し続けている「EN-EL15~」の型番のバッテリーなら互換性がある。

テスト撮影中にバッテリーの残量をチェック。ミラーレス機のなかではバッテリーの持ちは良いほうだ。

 側面の端子類も変更は無いが、USBタイプC端子での充電に加え、給電も可能になった。こちらもすでに「Z5」で対応済なので順当な進化といえるだろう。

モバイルバッテリーでの給電も可能。メーカーでは「AnkerPowerCore+ 26800 PD 45W」を推奨しているが、所有している他社製PD45W出力のモバイルバッテリーでも動作は確認できた。

 搭載している撮像素子は「Z7Ⅱ」は4575万画素、「Z6Ⅱ」は2450万画素と変更はない。発売前の評価機ではあるが、実際に撮影する機会に恵まれたので簡単ではあるが画質をテストしてみた。  レンズは大三元といわれる開放F2.8ズームの「Z 24-70mmF2.8 S」と「Z 70-200mm F2.8」を使用している。

Zマウントが登場してから2年が過ぎ、レンズラインナップも拡充。今回試用した「Z 24-70mmF2.8 S」と「Z 70-200mm F2.8」にくわえ10月中には大口径超広角ズーム「Z 14-24mm f/2.8 S」も登場予定。これで大三元が揃うことになる。

高感度での撮影能力はどう変わった!?
AF性能の向上はかなり「効く」のだ

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