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ASCII Power Review 第102回

EVF&手振れ補正内蔵でフルサイズなのにこのサイズは新時代だ!!

α7C 実機レビュー = 世界最小・最軽量フルサイズカメラの写りを試してみた!!

2020年10月22日 10時00分更新

文● 写真 岡田清孝 + 編集● ASCII PowerReview軍団

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 ソニーからコンパクトなフルサイズミラーレスカメラ「α7C」(もちろんCは"Compact"という意味)が登場した。

 フルサイズミラーレスの元祖α7シリーズのなかでも、ベストセラーと言えるスタンダードモデル「α7Ⅲ」と同等のスペックを備え、それでいてボディーの大幅なサイズダウンを実現。小型軽量化を追求するソニーの姿勢が感じられる。

10月23日に発売され、量販店価格はボディーのみ22万9900円、「FE 28-60mm F4-5.6」とのレンズキットは26万2900円。なおボディーカラーブラックにくわえ、「α7」シリーズ初のシルバーもラインナップ。

EVFと手振れ補正を内蔵した世界最小・最軽量フルサイズカメラ

 ボディーはAPS-C機「α6xxx」シリーズに近いデザインである。「α7Ⅲ」とサイズを比べると、全高は24.5ミリ低く、奥行きも14ミリ薄くなり、かなり小型化されている。

 重量も141グラムほど軽量化され、メディアとバッテリー込みで509グラムしかない。フルサイズ機最小最軽量の座こそシグマの「fp」に譲るが、EVFや手ブレ補正を内蔵して、このサイズに収めた技術力には感服する。

ボディーサイズは124(W)× 71.1(H)× 59.7(D)mm、重量はメディア・バッテリー込みで約509g。

「α7Ⅲ」と並べて比較。EVFが左肩に配置され、そのぶんペンタ部の繰り出しが無いので、より小さく見える。

 背面や上面の操作ボタン類も「α7Ⅲ」というよりは「α6xxx」シリーズに似ている。そのため「α7Ⅲ」で背面に装備されたAF測距点移動をおこなうマルチセレクターが省かれてしまった。

 背面液晶をなぞって操作する「タッチパットAF」や、フォーカスエリアをフレキシブルスポットに選択して十字キーでの移動という方法になるが、マルチセレクターに慣れてしまった身としては少々戸惑ってしまう。

背面は「α6xxx」シリーズに似たボタン配置。ボタンの大きさは「α7Ⅲ」などと同等だが、ボディーサイズが小柄な分、操作してみると少し窮屈な感じ。

 上面のシャッターボタン後方には大きめ動画ボタンが設置された。動画メインに撮影する人には使いやすい改良だろう。動画ボタンはカスタマイズ可能なので、静止画モード中に誤操作しないようオフにしたり、ISO感度など撮影時によく使う機能を割り当てることもできる。

大きめの動画ボタンが搭載されたが、そのかわり「α7Ⅲ」にあったカスタムボタンが無くなっているのは残念。

 背面の液晶ディスプレーは先日発売された「α9SⅢ」に続きバリアングル式を採用。チルト式のファンには淋しく感じるが、可動域の広さなど実用性を考えると、今後のαシリーズはバリアングル式が主流になることが予想される。「α7SⅢ」で採用したタッチ操作にも対応した新メニュー画面は見送られ、従来と同じメニュー画面になっている。

背面の液晶ディスプレーはバリアングル式に変更されたが、メニュー画面は相変わらずタッチ操作には非対応。

フルサイズセンサーで小型ボディの使い勝手は?
キットレンズも魅力的な新製品

 少し気になったのがグリップの形状だ。握ってみると少し幅広で、それでいて奥行が浅いので手に馴染みにくい。グリップが大きめの「α7Ⅲ」はもちろん、「α6xxx」シリーズと比べてもホールド感はワンランク劣るというのが正直なところである。

グリップはサイズが小振りで、指掛かりも浅く少し握りにくく感じる。

 また「MENU」ボタンが背面上部中央に配置されている。おそらくバリアングル式の液晶ディスプレーを引き出す窪みが必要なため、この位置になったのだろう。しかしカメラを構えたときに右手親指からも左手親指からも微妙に遠くて押しにくい。

 特にメニュー操作の際は、前画面に戻るのに「MENU」ボタンを押す必要があるので、その都度ストレスを感じる(こんな時タッチで操作できればいいのだが)。本機の購入を検討しているなら、「MENU」ボタンの操作に忍耐がいることを覚えておこう。

「MENU」ボタンの位置は押しにくい!こればかりは我慢して使うしかないだろう。

 EVFの解像度は235万ドットと「α7Ⅲ」と同じだが、倍率は0.59倍と低く像は小さめ。とはいえ表示の滑らかさは遜色なく、ボディーのサイズダウンを考えれば十分満足できる視認性だ。

 バッテリーも「α7Ⅲ」と同じ大容量の「NP-FZ100」を採用している。公称撮影可能枚数はファインダー撮影時で約680枚と「α7Ⅲ」より向上している。実際に撮影してみてもRAW+JPEGで550カット撮影した時点で40%も残っていた。小型化してもスタミナは譲らない点は有難い。

バッテリーは大容量の「NP-FZ100」を採用。フルサイズミラーレス機のなかでも上位の入るスタミナを誇る。

 メディアはSDのシングルになり、スロットは端子側の側面に移動した。「α6xxx」シリーズのようにバッテリーと同室ではないので、三脚使用時でも交換しやすいというメリットはある。端子類はマイクロUSBが除外され専用リモートケーブルの使用はできなくなったが、側面の狭い範囲に効率よく配置されている。

メディアはSDのシングルでUHS-Ⅱに対応。スロット室にはロックがあり、きっちりと閉まる。

端子類はメデァイスロットの上下に配置。上側にはマイク、下側はヘッドフォンとHDMIにUSB-Cと、ケーブル回しがしやすい配置だ。

 「α7C」のキットレンズとして新たに登場したのが「FE 28-60mm F4-5.6」だ。従来のキットレンズだった「FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS」と比べると、望遠側の焦点距離が少し短く手ブレ補正も非搭載だが、沈胴式を採用し収納時は全長45ミリになるのは大きな魅力だ。

 画質もズーム全域で絞り開放からシャープで、周辺の像も乱れがない。光量落ちや歪みもレンズ補正をオートに設定しておけば実用上気になることはないだろう。

 コンパクトで画質も申し分なく「α7C」に限らず、すべてのフルサイズαユーザーの常用レンズとしてオススメ・・・なのだが、当面はキットレンズとしてのみ販売・・・単体では2021年春に定価6万6000円で発売予定だ。

キットレンズの「FE 28-60mm F4-5.6」は沈胴式なので、収納時はコンパクトになる。

「FE 28-60mm F4-5.6」の広角28mmと望遠60mmを、ともに絞り開放で撮影。レンズ補正はすべてオートに設定している。中心部はもちろん、周辺部の解像力にも注目。

広角28mmで撮影。一般的な標準ズームの24mmよりは画角が狭いが、構図の工夫で遠近感を強調した写真も撮れる。使用レンズ「FE 28-60mm F4-5.6」・絞りF8・シャッタースピード1/320秒・ISO100・ホワイトバランスオート・ピクチャースタイルスタンダード・Dレンジオプティマイザーオート。

望遠60mmで撮影。F5.6と明るい開放F値ではないが、十分ボケのある写真は楽しめる。使用レンズ「FE 28-60mm F4-5.6」・絞りF5.6・シャッタースピード1/80秒・ISO200・ホワイトバランスオート・ピクチャースタイルスタンダード・Dレンジオプティマイザーオート。

光源が写り込むような逆光でも、フレアやゴーストの発生はごくわずか。使用レンズ「FE 28-60mm F4-5.6」・絞りF16・シャッタースピード1/20秒・ISO100・ホワイトバランスオート・ピクチャースタイルスタンダード・Dレンジオプティマイザーオート。

最短撮影距離は広角で約30㎝、望遠では約45㎝。近接撮影ではやや描写が甘くなるので、場合によってはシャープネスを調整してもいいかも。使用レンズ「FE 28-60mm F4-5.6」・絞りF5.6・シャッタースピード1/400秒・ISO400・ホワイトバランスオート・ピクチャースタイルスタンダード・Dレンジオプティマイザーオート。

最小最軽量でもフルサイズの画質はソニー品質

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