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タダでさえ高速なNVMe M.2 SSDにPCIエクスプレス4.0対応のさらに高速なモデルが登場した。第3世代Ryzen CPU環境下で利用できるAMDユーザー垂涎の最新SSDはどれだけのスピードを発揮するのだろうか。PCIe3.0の売れ筋モデルや2.5インチSSDとの体感速度の違いにまで踏み込んで見てみよう。
登場初期で製品差は少ない
AMDが第3世代RyzenCPUを発表するのに合わせて、PCIエクスプレス(PCIe)4.0対応を謳うM.2タイプのSSDが登場している。従来のM.2タイプのSSDでは、SATA 6GbpsやNVMeで接続されるものが主流だった。NVMeは内部にPCIe 3.0×4のインターフェースを持ち、転送速度は毎秒3.94GBとなる。これに対して、AMDが第3世代Ryzen用マザーボードのチップセットとして用意した「AMD X570」では、NVMeがPCIe 4.0×4で接続されるようになった。PCIe 4.0は理論上、3.0の帯域を2倍に引き上げているため、PCIe4.0×4の転送速度は最大で毎秒7.88GBとなる。'19年9月現在、PCIe 4.0をサポートしているプラットフォームは、このAMD X570搭載マザーボードしかない。
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Ryzen5 3600XとAMD X570を搭載するGIGABYTEの「X570 AORUS MASTER」。2019年9月において、PCIe 4.0が利用できるのは第3世代Ryzen環境しかない。
ただし、PCIe 4.0×4接続の恩恵を享受するためには、SSD側も同規格に対応している必要がある。'19年9月中旬において、PCIe 4.0対応を謳うSSDは、日本市場においては3社からしか登場していない。
しかも、そのいずれもがコントローラーチップにPhison製「PS5016-E16」を採用し、NANDフラッシュメモリーには東芝の96層3D NANDである「BiCS4」を搭載している。もっと言うと、キャッシュメモリーもSK hynix製DDR4の「H5AN4G8NBJR」で変わりはない。つまり、現在販売されているPCIe 4.0対応SSDは、基本構成はすべて同じものだ。
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PCIe 4.0対応製品のすべてが、コントローラチップにはPhison製PS5016-E16を採用する。
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NANDフラッシュメモリーも、PCIe 4.0対応製品ではすべて東芝の「BiCS4」で変わりはない。
PCIe 4.0対応製品は発熱量も多く、冷却が足りないとサーマルスロットリングによる性能低下が起きてしまう。現在販売中のPCIe 4.0対応SSDの"違い"は、冷却に必要な"ヒートシンク"に集約されているのだ。
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第3世代Ryzenでは、CPUとストレージがPCIe 4.0×4で接続されるようになっている。インテル環境ではPCIe3.0どまりなので対応SSDも3.0として動作してしまう。
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