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ガスボンベはもっと小さくできる。ノーベル賞のMOFが変える天然ガスの運び方

IVS2026で見つけたちょっと気になる技術③

 2026年7月1日から3日まで京都で開催されたスタートアップカンファレンス「IVS2026」。株式会社Atomisのブースには、多孔性金属錯体「MOF」のペレットやパウダーの見本が並んでいた。

 Atomisは、2025年のノーベル化学賞を受賞した北川進教授の研究室から生まれた、京都大学発のスタートアップだ。MOFは、内部に微細な穴が無数にある材料で、特定の気体を吸着したり、貯蔵したりできる材料で、同社は用途に応じたMOFの設計から量産、販売までを手がけている。

 現在の売上の中心は、大企業と共同でMOFの用途開発や製品化を進める「マテリアル事業」だ。ダイキン工業をはじめ、複数の企業とBtoBでの社会実装に取り組んでいる。

 しかし、素材を企業に販売するだけでは、量産設備への大きな投資を集めにくい。そこで同社は、創業当初から、MOFを使って自社で課題解決に取り組む「インパクト事業」も進めてきた。

次世代高圧ガス容器CubiTan

 そのひとつが、次世代高圧ガス容器「CubiTan(キュビタン)」による分散型ガスシェアリングだ。MOFにガスを吸着させることで、従来は200気圧ほどの高圧が必要だった天然ガスを、より低い圧力で効率よく運べるようにする。

 「ガスの流通業界は100年間、大きく変わっていません。材料だけを売るのではなく、自分たちで新しいインフラをつくりたい」と、代表取締役CEOの浅利大介氏は話す。

 容器を小型化し、残量や配置、配送経路をデジタルで管理できれば、ガス配管が整っていない地域にも天然ガスを届けやすくなる。2024年からインドネシアで実証実験を進め、2026年にはタイ政府との実証も始めた。

 国際情勢によってエネルギー価格や供給網が揺れるなか、ガスをどこから調達し、地域内でどう運ぶかは各国のエネルギー安全保障にも関わる。CubiTanが実用化されれば、配管や大型設備に依存しないガス供給の選択肢になりそうだ。

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