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48チーム/約1250人の全選手の3Dモデル化には「技術のスケール」が大切だった

選手そっくり! サッカーW杯2026で初登場の3Dアバター、その舞台裏

2026年06月28日 12時30分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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短期間で1200人以上の全選手をスキャン、3Dモデル化する「スケール」が重要

 アバター生成技術の中核となっているのが「3D Gaussian Splatting(3Dガウシアンスプラッティング)」と呼ばれる機械学習手法だ。従来の手法(フォトグラメトリ)では、このような3Dアバターを作るために180~320台のカメラが必要だった。しかし、3D Gaussian Splattingを使えば、わずか36枚の画像から高精細3Dモデルを生成できる。

 その後の工程もすべて自動化されており、人手による3Dアバターの修正はほぼ不要になっている。ここでは、AIによる体の部位の識別(セグメンテーション)、Hawkeyeの技術をベースとした既存VARシステムのベースメッシュへの体積転送、自動クリーニングと品質強化、AIによる品質スコアリングといったテクノロジーが盛り込まれている。

 ユニフォームの色や番号もAIの処理変えられる。たとえば、スキャン時と試合当日で違うユニフォームを着ていても、VAR映像では試合当日のユニフォームに“着せ替える”ことができるわけだ。

「審判の判断サポート」と「ファン体験の向上」の双方を実現

 このプロジェクトを率いるLenovoのAIシニアマネージャー、ヴァレリオ・リッツォ(Valerio Rizzo)博士は、ワールドカップでは「スケール」が重要だと強調する。今回は48チーム、約1250人分の3Dアバターを、大会前にすべて生成しなければならなかった。そこで、クラウド上のGPUをクラスタ化し、処理をスケールアウトできるアーキテクチャを設計して、3Dモデリング処理のスケールを確保したという。

 LenovoのグローバルCIOであるArt Hu(アーサー・フー)氏は、ワールドカップ開幕の数日前に行われたブリーフィングで「約半数のチームのスキャンが完了している」と報告した。前述したとおり、FIFAとLenovoが各チームの拠点を巡回し、全選手のスキャンを実施した。

 「審判の判断(オフサイド判定など)を助けるのと同時に、ファン体験も向上させる。この“デジタルアバターツイン”は、複数の成果をもたらすユースケースだ」(フー氏)

 選手の肖像データを扱うシステムであるため、データの管理体制も気になるところだ。フー氏は、スキャンデータは暗号化したうえで転送や保存を行っていると説明した。ワールドカップの終了後、このデータをどう活用するかは、FIFAと各国のサッカー協会が協議して決定する。残念ながら、この3Dデータをファンに開放するような予定はないという。

 今大会の中継映像で、視聴者はこれまでとは違うリアルなVAR映像を目にしている。見慣れた選手の顔と姿で表れる3Dアバターは、テクノロジー進化のたまものであり、運営とサポーターの双方に良い影響を与えそうだ。

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