Qualcommがデータセンター向け新ブランド「Dragonfly」を公開、AI時代のインフラを一新する注目の新製品!
2026年06月02日 14時00分更新
台湾・台北で開催されているCOMPUTEX 2026において、Qualcommのクリスチアーノ・アモンCEOが基調講演に登壇し、AI技術の進化がエッジデバイスやネットワークアーキテクチャーに与える影響について解説した。
アモン氏は「2026年はエージェントの年である」と宣言し、AIが人間の指示を待つ単なるツールから、自律的に行動する「エージェンティックAI(Agentic AI)」へと移行しつつある現状を解説。また、クラウドとデバイス間で処理を分散する重要性を説き、データセンター向けの新製品ブランド「Dragonfly」を発表した。
AIは現在、人間のプロンプトに応答する段階から、ユーザーの意図を理解し、自律的にタスクを実行するエージェントへと進化している。アモン氏は「デジタル体験の中心はスマートフォンそのものから、パーソナルなAIエージェントへと移行する」と指摘。スマートフォンやPC、ウェアラブル端末などはすべて、このエージェントにアクセスするための「エンドポイント」として機能することになる。
このような常時稼働し、継続的に状況を把握するエージェントを支援するためには、デバイスのアーキテクチャーを変革する必要がある。アモン氏は「人間が自分で操作するだけでもスマートフォンのバッテリーを1日持たせるのは大変なのに、エージェントが自律的に操作するとなればどうなるか」と問いかけ、電力効率の重要性を強調。タスクの自動化を行なう強力なCPUと、ローカルでモデルを実行する高密度のNPUおよびGPUが不可欠と指摘していた。
AIの自律化はパーソナルデバイスにとどまらず、自動車やロボティクスといった物理的な世界(Physical AI)にも及んでいる。自動車においては、車内でユーザー体験をパーソナライズするエージェントと、カメラやレーダーを用いて自動運転を担う物理AIの2つの知能レイヤーが存在し、これらが1つの統合システムとして機能する。
ロボティクス分野についてアモン氏は、人間の無意識の行動のような瞬時の実行、行動とグラウンディング(正確な回答を出力させる技術)、そして推論を行なうための「3層の階層型コンピューティングシステム」が必要だと説明。Qualcommは、中央計算処理や分散型エッジAI、高レベルのセンサー統合を組み合わせたプラットフォームを提供し、多脚ロボットやヒューマノイドなどの開発を支援している。
次世代通信規格である6Gについてもアモン氏は、「AIの時代のために設計された最初のワイヤレス世代」と定義し、その柱として「接続性」「分散コンピューティング」「センシング」の3つを挙げた。
接続性の面では、スマートグラスなどを通じて高速な接続が求められるとし、「6Gは私たち全員を歩くカメラにするだろう」と表現した。また、最大の変革であるセンシング機能については、数億の無線接続がレーダーのように機能して物理的な世界を知覚すると語った。
これにより都市レベルの巨大なデジタルツイン(現実世界の情報を仮想空間に再現する)が構築され、ドローンの検知や歩行者の追跡が可能となる。アモン氏は、このリアルタイムデータが、エッジデバイスのエージェントAIに対して不可欠なコンテキストを提供すると説明した。
自律的なマルチステップのタスクを実行するレベル3のAIエージェントは、1タスクあたり100万トークン以上を消費する。アモン氏はトークンを「AIの新しい通貨」と呼び、「2030年の全世界のトークン需要は401京4800兆という桁違いの規模に達する」と予測。
この膨大な計算需要に対応するためには、デバイス側とクラウド側に計算を振り分ける「分散型AI」が必須となる。これについてアモン氏は「抵抗は無意味」と断言し、「クラウドで実行すべきものはクラウドで、エッジで実行すべきものはエッジで実行される」と語った。
具体例として、コーディング作業で処理を分散させることで140万トークンを節約してコストを60%削減できることや、Webサイト作成タスクでトークン消費を約30%抑え、コストを4分の1にできることを示した。
講演の最後、アモン氏はクラウド側のAIインフラを支えるデータセンター向けの新製品ブランド「Qualcomm Dragonfly」を発表。「データセンターの詳細は6月24日の投資家向け説明会で共有する」としつつも、すでにハイパースケーラーなどと実際の展開に向けた協業を進めていることを明かした。
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