このページの本文へ

科学技術振興機構の広報誌「JSTnews」 第88回

【JSTnews4月号掲載】NEWS&TOPICS 創発的研究支援事業 研究課題「最先端超音波を駆使した3D欠陥可視化技術創成」

コンクリート製のインフラの維持管理に役立つ、高性能の超音波検査技術を開発

2026年04月15日 12時00分更新

文● 中條将典

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 トンネル、橋梁(きょうりょう)、高速道路などのコンクリート構造物の老朽化による事故が国内外で多発しています。こうした事故は外観からはわからない内部の欠陥や空洞が原因となる場合が多い反面、目視検査は表面のみ、打音による検査も浅い範囲しか評価できません。超音波を当てて内部の欠陥を映像化する技術も普及しつつありますが、コンクリートは超音波の減衰率が極めて大きいため、構造体内部の詳細な映像化は困難でした。

 東北大学大学院工学研究科の小原良和教授らの研究チームは、検査対象に応じて、散乱した超音波から最適な周波数を自動で選択する広帯域送受信システムを用いた「周波数自動可変型PLUS」技術を開発。コンクリート内部の欠陥を高分解能かつ3次元で可視化することに成功しました。研究チームはこれまでに、電圧をかけると伸び縮みする圧電材料による広帯域の超音波送信と、レーザー光のドップラー効果を利用して材料内部の振動情報を非接触で計測する手法を組み合わせて、材料内部の欠陥を3次元で可視化する技術を開発しています。今回は、減衰の影響を受けた超音波から最適な周波数帯を自動選択して計測する仕組みを開発するとともに、内部で散乱した超音波を受信する際の2次元スキャン点数を増やすことで、高分解能の3次元映像化を実現しました。

 この技術を利用すると、コンクリート内部の危険箇所を破壊することなく見つけ、優先して補修できるようになります。老朽化したコンクリートインフラの維持管理を効率化し、安全性・信頼性を高められる技術として将来有望です。

多様な高減衰コンクリート構造物の内部を3Dで可視化できる「周波数自動可変型PLUS」の概念図。圧電材料による広帯域超音波送信と、ドップラー効果を使って内部振動を計測する際に最適な周波数を自動選択する技術を組み合わせた。

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事
  • 角川アスキー総合研究所