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科学技術振興機構の広報誌「JSTnews」 第89回

【JSTnews4月号掲載】NEWS&TOPICS 創発的研究支援事業 研究課題「極端気象を指向した乱流パラメタリゼーション構築」

スーパーコンピューターを使って台風の急発達を再現、強度予測の改善へ

2026年04月16日 12時00分更新

文● 中條将典

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 発生した台風がどれだけ強くなるかを予測することは、被害を抑える上で極めて重要です。しかし、台風の急発達期の正確な予測は今なお難しい課題となっています。その主な理由の1つは、活発な渦の大きさが数百メートルと小さいのに、一般的な数値計算の解像度は数キロメートルと粗いからです。

 東北大学大学院理学研究科の伊藤純至准教授らの研究チームは、スーパーコンピューター「富岳」を使って、1つの台風が弱い渦の段階から非常に強い台風になるまでの約4日間を、100メートルの超高解像度で再現することに成功しました。同チームは、2000キロメートル四方の巨大な計算領域内を水平解像度100メートル・鉛直60層に区分。比較的大きな渦は直接、それより小さな渦の効果はモデル化して扱う数値計算を実行しました。同じ条件で水平2キロメートルの低解像度計算も実行し、最低気圧・最大風速・最大風速半径などの時間変化を比較しました。

 その結果、最大の強さは両者でほぼ同じですが、超高解像度計算では急発達の始まりが約1日遅れることがわかりました。そこで同チームは、半径1キロメートル未満の細かな渦の分布や、台風の目の周りにできる半径約10キロメートルの渦を詳しく調べ、これらの渦が台風中心への空気の流入を妨げて台風の急発達が始まる時期が遅れることを突き止めました。

 今回の研究により、台風が急発達する時期を左右する条件が、これまでの計算で直接扱えなかった小さな渦の集まりである可能性が示されました。この知見は、今後の台風の強さの予測を改善する上で重要な手がかりとなると考えられます。

地表面付近の鉛直渦の発達期から成熟期までのシミュレーション。値の大きさが回転の強さ、符号の正が反時計回り、負が時計回りに対応する。

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