ベンチャーキャピタルと弁理士のタッグで、スタートアップへの知財支援をスムーズに
スタートアップが依頼したい専門家がわかる!~専門家の選び方から会話法、VCからみた課題まで~ 「スタートアップ支援セミナー in 東京」レポート
この記事は、特許庁の知財とスタートアップに関するコミュニティサイト「IP BASE」に掲載されている記事の転載です。
日本弁理士会知財経営センターは、特許庁スタートアップ支援班との共催で知財セミナー「スタートアップが依頼したい専門家がわかる! ~専門家の選び方から会話法、VCからみた課題まで~ スタートアップ支援セミナー in 東京」を2024年12月10日に開催した。
日本弁理士会は2022年からスタートアップ支援セミナーを年3回全国各地で開催している。2024年度は熊本、名古屋で開催され、今回の東京開催では、一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会の後援のもと、スタートアップ、ベンチャーキャピタル(VC)、知財専門家、それぞれの視点からスタートアップの知財支援について議論を交わした。
パネルディスカッション「スタートアップの知財戦略をVC目線で解き明かす」
パネルディスカッションには、日本弁理士会 知財経営センター(弁理士、ピクシーダストテクノロジーズ)の木本大介氏のモデレーターのもと、日本弁理士会 知財経営センター(弁理士、株式会社IA Beacon)の下田俊明氏、日本弁理士会 知財経営センター (弁理士で、グローバルブレイン)の廣田翔平氏、グロービス・キャピタル・パートナーズの中村達哉氏が参加。「スタートアップの知財戦略をVC目線で解き明かす」と題し、スタートアップの事業ステージに応じた適切な知財活動と、それを支援するVCや専門家の役割について議論した。
最初のテーマは、「VCから見たスタートアップの知財活動の課題」
中村氏は「ディープテック系の起業家は特に知財に力を入れるタイミングに悩まれているように感じる」と話す。シード期は知財で技術の説得力や信頼性を得たいが、知財活動にかける資金とリソースがない。アーリー段階になると、事業の方向性が固まり、どの知財が必要なのかがようやく見えてくる。ミドルになると、「攻め」や「守り」の手段として知財を捉えるようになるなど、ステージによって、お金のかけどころや知財の事業に対する位置づけが変わってくるという。しかし、まだエコシステムにステージ毎の成功事例が体系的に蓄積されていないため、特に初めて起業する場合は、判断に悩むことが多いのが実情だそうだ。
下田氏はサポートする立場として、「弁理士との相性も大きく影響する」と指摘する。最初から自社の事業に適した弁理士に出会えるケースは稀だが、スタートアップには判断が難しく、専門家の意見に流されてしまいやすい。セカンドオピニオンの仕組みがあれば、シード~アーリー期での知財の失敗が減るのでは、と提案した。
廣田氏は、「初期のスタートアップが知財投資を判断しづらいのは、その目的が不明確だから。目的は会社ごとに違うので、他社のロールモデルをそのまま当てはめようとするのは違う。また内部に知財専門家がいないことも外部専門家とのギャップが生じる原因のひとつ」と話した。