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うさん臭さを超え、世界を変革させる「ディープテック」こそ日本の切り札

GRIC2024セッション「ディープテック:日本のグローバル競争力を強化する切り札」レポート

提供: フォースタートアップス株式会社

ディープテックはグローバル競争の切り札になるか

 国内最大級のグローバルスタートアップカンファレンス「GRIC2024」が2024年11月12日~14日に開催された。12、13日は多数のオンラインセッションが、14日は渋谷ヒカリエ ヒカリエホールにて協賛企業、スタートアップ企業のブース展示のほか、数多くのトークセッションが実施された。

 最終日のFIRESIDE CHAT(リラックスした会話形式のセッションのエリア)で実施されたセッションが「ディープテック:日本のグローバル競争力を強化する切り札」だ。

 登壇者は株式会社ispace 代表取締役CEO & Founder 袴田武史氏、株式会社ティアフォー 創業者兼CEO 加藤真平氏、UntroD(アントロッド) Capital Japan株式会社 代表取締役 永田暁彦氏の3名。それぞれの視点から、ディープテックに関する意見を述べた。本稿では、その内容を抜粋して紹介する。

株式会社ティアフォー 創業者兼CEOの加藤真平氏

ディープテック特有の事情
事業の不確実性と、リターンの大きさ

 2015年に、世界で初めてオープンソースの自動運転ソフトウェア「Autoware」を開発したとする株式会社ティアフォー 創業者兼CEOの加藤真平氏は、「日本が世界のマーケットに対抗していくのはディープテック」と語る。

 参入障壁の比較的低いSaaSではなく、革新的な新技術や、科学的な知見を用いて世の中を変革していく要素を持つディープテックが、世界規模で支持を受けることの重要性に触れた。

 ただし、ディープテックスタートアップの創業や運営には莫大な資金が必要であり、そこに課題があるとも加藤真平氏は述べる。

 続けて投資家の目線にも触れ「日本はクリーンな考え方をする国です。ディープテックの『うさん臭さ』が受け入れられにくい面もあると思います」と、ディープテックが持つ「マーケットに変革を起こし得る」という要素が、時に投資側からは眉唾物に見えてしまう可能性についても触れた。

「『うさん臭さ』があったとしても、うまくいくと一発逆転の可能性がある。そこに価値があるから、投資をする。そのカルチャーが拡大していくと、ディープテックも拡大していくのではないかと思っています」

株式会社ispace 代表取締役CEO & Founderの袴田 武史氏

 同じテーマについて、宇宙スタートアップ企業の株式会社ispace 代表取締役CEO & Founder 袴田武史氏は「どうしても、事業に確実性がないぶん、『うさん臭く見えてしまう』こともあるのかな」と話しつつも、「そう言われたとしても、自分たちは、やることをやるだけと思っていますけどね」とも述べた。

 株式会社ティアフォー 創業者兼CEOの加藤真平氏も「『うさん臭くないもの』がうまくいったとき、見ている人は『やっぱりうまくいったよね』って感じるはずですが、少々『うさん臭いもの』がうまくいくと、みんな、ヒーローとして見てくれるようになるんですよ。私の事業領域から近いところで言えば、EV(電気自動車)も、はじめは『うさん臭いもの』だったと思いますよ」と返した。

言葉を超えて、体験を届けられる
実は、海外で戦いやすいディープテック

UntroD Capital Japan株式会社 代表取締役の永田暁彦氏

 事業の不確実性をある程度まで受容しつつ、事業が持つ潜在的な価値を評価する風潮が、国内ディープテックの発展には不可欠なのかもしれない。

 この点について、パネリストを務めたUntroD Capital Japan株式会社 代表取締役の永田暁彦氏は、身近な例を挙げて説明した。

「メルカリは素晴らしいサービスですが、メルカリのサーバーサイドで起きていることを理解して使っている人はいないと思います。トヨタの車がどのように動いているか、100%理解して乗っている人もいないと思います。つまり、体験に価値を感じれば、サービスやプロダクトは受け入れられていくんです。

 ディープテックにおいては、そこの難易度が高くなりすぎてきたと思います。アカデミアとサイエンティストが、自分たちの立場を守るために、そう(理解が難しい状況に)してきた歴史もある。でも、いまはその境目のところまで来ていて、壁が壊れたときに、状況が大きく変わるのではないでしょうか。言語を超えて体験を届けられ、目で見てわかるところにディープテックの強みがあるので、グローバル競争においては、ディープテックに勝ち筋があると僕は思っています」

座席に観客が収まり切らず、立ち身が出る盛況ぶりだった