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ディープテックとレイターステージを強化する スタートアップ育成5ヵ年計画のこれから

IVS2024 KYOTOセッションレポート「スタートアップ育成5ヵ年計画 後半戦の行方と展望」

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いろいろなものがコンパクトに交じりあう「ぬか床」から生まれる起業文化

 国の動きに対し、自治体でどのようなスタートアップ支援が行なわれているのか。京都市の事例が松井市長から紹介された。

京都市の松井孝治市長

 京都市からは、AI画像解析技術の株式会社HACARUSや、いきものコレクションアプリを開発する株式会社バイオーム、スマート養殖技術のリージョナルフィッシュ株式会社などが起業しており、京都府や経済団体と一緒になってオール京都でスタートアップのエコシステム構築を推進している。

 また、これまでに京セラやオムロン、堀場製作所といったメジャー企業を生み出してきたのは、いろいろなものがコンパクトにまとまって交じり合う「ぬか床」のような京都ならではの距離の近さがあるとしている。また「ぬか床は混ぜないといけないので、海外や東京や大阪の人たちも入ってほしいし、行政が混ぜる一助になっていこうとしている」ともコメントする。

京都発のスタートアップカオスマップ

 さらに松井市長は「ディープテックを含めた新しい技術に文化やアートといった付加価値を付けることが大事。ここでしか作れないものを作るスタートアップを伸ばして、ユニコーンを10倍にすることが重要な観点になってくるはずで、そこをぜひみなさんと一緒に頑張っていきたい」と述べた。

 今枝氏も政策を実現するにはチームの力が非常に大切で、新しい産業や本当に革新的なスタートアップを生んでいくという意味では、今の東京一極集中を変えていかなければいけないと思っており、その点では京都に期待しているとコメントした。

 松井市長はさらに、新しい政策は官僚だけが書くのではなく、市政からあげて実装することも必要だと言い、「そのためにも人々の意識を高め、巻き込んでいかなければ成熟した民主主義にならない」と話す。「新しい資本主義を議論する時に、誰が新しいビジネスアイデアを作り、誰がそれを実装し、誰が投資家を巻き込んでいくのか、というのは今回のIVSのテーマそのものである。もちろん京都だけでは絶対うまくいかないので、海外からも素晴らしいビジネスアイデアや資本を取り入れ、そして海外のマーケットに出ていくためにも、いろんな局面でいろいろなことを混ぜ合わせてほしい、ということを提案したい」(松井市長)

 伊藤氏は「時代が複雑化したことでスタートアップも多様化し、本当にいろんなことをやらないといけなくなっている」とコメントする。自身が創業したPoliPoliもその一つで、身近にどのような課題があり、どういうことができるのかを伝えて、政策につなげることを選挙以外の方法でやるために立ち上げた。実際に月1件ぐらいのペースでPoliPoliを通じて行なわれた提言から、何十億円という予算が付いたり、法律が変わったりする動きがあるという。

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